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2008年01月05日(土) 07時15分

仏狙うアルカイダ系 地中海連合に反発 パリ・ダカ中止朝日新聞

 5日に始まる予定だった自動車のダカール・ラリー(通称パリ・ダカ、リスボン—ダカール間)の中止が4日、決まった。主要コースとなるモーリタニアでのテロ警戒を強めるフランス政府が中止を促した結果だ。その背景には、アフリカ北西部のマグレブ地域を中心に活動する国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派が、フランスを標的にした動きを強めていることがある。フランスと地域諸国との接近を非難する声明も出ており、サルコジ政権が今後、矢面に立たされる可能性もある。

 先月24日、旧仏植民地のモーリタニアで旅行中の仏人家族4人が殺害された。モーリタニアの捜査当局は、容疑者3人のうち2人のモーリタニア人が、アルジェリアを拠点とする「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」(AQIM)の関係者だったとした。

 AQIMはかつて「布教と聖戦のためのサラフ主義集団」(GSPC)と名乗っていたが、昨年1月に今の名称に変えてアルカイダ系を明確にした。これに先立つ06年9月、アルカイダのナンバー2、ザワヒリ容疑者はアルジェリアの旧宗主国フランスへの攻撃をGSPCに呼びかけていた。

 仏国土監視局(DST)の元テロ対策担当者、ルイ・カプリオリ氏は「06年9月のザワヒリ容疑者の声明を転換点として、GSPCはアルカイダと手を結んで生き残る新戦略を打ち出した。フランスやスペイン、米国の影響力をマグレブ地域から排除することを狙っている」と指摘する。

 ザワヒリ容疑者は昨年11月の声明でも、この地域に権益を持つこれら3国に対する聖戦を呼びかけた。これを受ける形で先月11日、アルジェリアの首都アルジェの国連施設を狙ったテロがあり、AQIMが犯行声明を出した。今回の仏人殺害は、その延長線上にあるものと見られる。

 昨年5月に発足したサルコジ政権は地中海連合構想を打ち出し、アルジェリアやリビアなどと核協力を含むエネルギー分野の関係強化を図っている。AQIMを率いるアブデルマレク・ドゥルクデル氏は昨年7月、フランスとこうした国々との関係改善の努力を非難する声明を公表していた。

 仏テロ対策コンサルタント「テロリスク」代表のアンヌ・ジュディチェリ氏は「リビアの最高指導者カダフィ氏をフランスに招いて歓待するといったサルコジ氏のマグレブ外交は、親米路線を打ち出していることと合わせ、テロの標的となる可能性をいっそう高める危険がある」と指摘する。

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