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2008年01月04日(金) 08時01分

陸自「秘」資料が流出 薬物捜査中 中国人宅に編制表産経新聞

 薬物事件の捜査の過程で関係先として家宅捜索された東京都新宿区の中国籍の男の部屋から自衛隊法で「秘」に指定されていた陸上自衛隊の「部隊編制表」の一部が見つかっていたことが3日、分かった。部隊編制表は有事の際の作戦立案の基礎データとなるもので、警察当局は男から資料の任意提出を受け、流出ルートや背後関係などを調べている。自衛隊では昨年、最高機密のイージス艦情報流出事件が発覚、海自3佐が起訴された。今回も、安全保障に関する日本の情報管理のずさんさが露呈した一例といえる。

 警察当局によると、昨年8月、薬物事件の捜査で浮上した新宿区の男の部屋を捜索した際、室内の段ボール箱に入っていた部隊編制表の資料が見つかった。

 文書の内容から平成15年以前に作成されたもので、すべてのページに「秘」の文字が印刷された50枚の冊子。表紙が切り取られていたが、分析の結果、陸自の全部隊と駐屯地の名称、各部隊の装備や能力の一部、所属系統が分かる部隊編制表の冒頭部分であることが判明した。

 捜索された部屋の男は事情聴取に「自分の前に部屋を借りていた中国人の荷物。中に何が入っていたかは知らなかった」などと説明している。

 警察当局は過去に入居した中国人や出入りしていた人物の特定を急ぎ、文書が新宿の部屋に流れた経緯について、陸自にも協力を求め、調べている。

 自衛隊関係者によると、部隊編制表は作戦の特性に合わせて派遣部隊を組み直す際の基礎資料となる重要な情報で「秘」に指定されている。通常は各部隊で金庫に入れて厳重に保管されていた。

 見つかった資料には、改変され、現在は秘密に当たらない部分も含まれている可能性もあり、警察当局はさらに分析を進めるが、部隊編制表は通常、全編で数十の分冊から構成されている。

 部屋には、その一部しかなかったため、警察当局は、男や入居していた中国人らのルートを通じて、見つかった資料以外の情報がさらに流出した疑いもあるとみている。

 自衛隊の秘密情報は秘匿度の高い順に「機密」「極秘」「秘」の3つに区分されていたが、その後見直しが進み、現在、自衛隊法上の秘密は「省秘」と「防衛秘密」の2種類。一度、秘密に指定されると、指定が解除された場合でも、定められた方法に従って廃棄処分することになっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080104-00000024-san-soci