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2008年01月03日(木) 02時31分

<政治とカネ>久間氏、1億円は預金小切手で受領毎日新聞

 久間章生(ふみお)元防衛相が知人男性(64)から1億円を受領した問題で、久間氏が全額を預金小切手(預手)で受け取っていたことが分かった。預手での現金授受は、資金提供者が分からない。受け取り後、久間氏は送金記録が残る銀行口座での振り込みを繰り返しており、預手を使った不自然さが浮き彫りになった。

 1億円を提供した福祉用具販売会社「オー・ティー・アイ」(OTI、東京都江東区)の元監査役でもある知人男性によると、05年11月末ごろ、OTIから1億円を借り、運用した後の06年1月、1億円を預手にして久間氏に直接手渡した。

 久間氏によると、預手は全額換金して自分名義の口座に入金。うち8500万円は、自身が取締役の軍事・政治経済情報提供会社「アイメック」(新宿区)の銀行口座を経由して、知人女性が徳之島(鹿児島県)に所有する不動産購入資金に充てられた。

 金融関係者によると、預手は多額の現金を持ち歩かずにすむ半面、紛失して第三者が換金した場合に取り返すことは困難。このため、通常の巨額取引では確実性の高い口座での送金が利用される。ただ預手を使えば、送金元を隠したまま現金授受が行える。

 このため、犯罪などに使われるケースもあり、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部を巡る詐欺事件(07年)でも、元公安調査庁長官の緒方重威(しげたけ)被告(73)=拘置中=が詐取金の一部を預手で受領していた。

 男性は預手を使った理由を「久間先生の口座番号が分からなかったため」と説明している。

 ▽預金小切手 銀行が銀行自身を支払人として振り出す小切手で、自己あて小切手とも言う。資金提供者側が銀行に金を渡したうえで銀行を振出人とする預手を受け取り、受領者側にこの預手を渡して授受が完了する。銀行は事前に支払資金を確保してから振り出すため、不渡りになる危険が少ない。多額の現金を持ち運ばずに済み、安全で利便性が高い。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080103-00000006-mai-pol