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2008年01月01日(火) 03時03分

遺棄兵器処理水増し請求、PCI元社長ら詐欺容疑で立件へ読売新聞

 国が中国で進めている遺棄化学兵器処理事業を巡り、大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京都多摩市)が、事業費を約1億2000万円水増しして国に請求していた疑いが強まったとして、東京地検特捜部は月内にも荒木民生元社長(71)らを詐欺容疑で立件する方針を固めた。

 PCI側は、経済上のリスクを一切負わず事業を独占受注する契約を国と結んでいたことも判明。特捜部は、巨額の国費が投じられる同事業を巡る不透明な資金の流れや、PCI側に有利な契約が結ばれた経緯などの解明を本格化させる。

 特捜部は昨年10月に同社などを捜索した後、事業を発注した内閣府から段ボール箱約100箱分の資料の任意提出を受けたほか、荒木元社長や先月退任した多賀正義前社長(62)らから任意で聴取するなど捜査を進めてきた。

 同事業は1999年度から始まり、2004年3月以降は、PCIの持ち株会社が設立した「遺棄化学兵器処理機構」が随意契約で独占受注。受注額は06年度までの3年間で計約230億円にのぼり、事業の一部をPCIなどの共同企業体に委託した。

 関係者によると、機構設立にあたり、PCIは大手プラントメーカーと共同出資する予定だったが、メーカー側が「中国での処理事業はリスクが大き過ぎる」と難色を示したため、PCI側が全額出資することになった。ところが、機構が内閣府と結んだ基本契約は、〈1〉経済上のリスクはすべて政府が負う〈2〉処理事業は機構が独占受注する——などと機構側に極めて有利な内容となっていた。

 この契約直後、PCIグループの実質的なトップで、関連会社「パシフィックプログラムマネージメント」(PPM)の社長を務めていた荒木元社長は、PCI幹部に「有利な契約で受注できたのは、自分が交渉したからだ」などと話し、PPMへの利益提供を求めたという。

 このため、PCIは、委託事業費を水増し請求して、不正利益を捻出(ねんしゅつ)することを考案。PCIはPPMに架空の経費を支払い、その分を上乗せした事業費を機構を通じて内閣府に請求した。水増し額は04〜05年度で計約1億2000万円に上った。

 特捜部は、PPMへの利益提供について特別背任容疑で捜査していたが、PCI側の国への水増し請求が、荒木元社長の要求を受けて行われたグループぐるみの詐欺に当たると判断した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080101i101.htm