記事登録
2008年01月01日(火) 03時04分

裁判員制度元年…秋以降に本格化、8000人が審理に読売新聞

 刑事司法を大きく変える裁判員制度が5月21日に始まる。

 殺人や傷害致死、強盗致傷など重大事件の裁判にくじで選ばれた6人の国民が裁判員として参加し、3人の裁判官と一緒に被告の有罪・無罪と量刑を決める。実際の裁判は7月以降、全国の60地裁・支部で順次始まり、秋以降に本格化する見通しだ。

 最高裁は2008年11月、29万5027人に裁判員候補者に選ばれたことを通知した。07年の裁判員制度の対象事件は2643件。最高裁は、裁判員の選任手続きのため、地裁に呼び出す候補者を1事件あたり平均60人と試算しており、今年は7月以降の約半年間で約8万人が呼び出され、このうち約8000人が実際に裁判員を務める計算になる。

 裁判員裁判が行われるのは、「法定刑に死刑か無期懲役がある事件」「故意の犯罪で人を死亡させた事件」のうち、5月21日以降に起訴された事件だ。その日に起訴があった場合、検察側の証拠開示を経て、裁判官、検察官、弁護士が裁判日程などを決める公判前整理手続きが行われるのは、早くても6月10日ごろ。手続きが1回で終わったとしても、候補者に呼び出し状を送ってから初公判を開くまで6週間を置くことになっているため、第1号裁判は7月下旬になる見通しだ。

 争いがほとんどない事件は公判前整理手続きもスムーズに進むが、被告が無罪を主張する事件は、公判前整理手続きに時間がかかるため秋以降に公判が開かれることになると見られる。

 また、被告の刑事責任能力が争われる事件の多くでは、捜査や公判前整理手続き段階で精神鑑定が行われる。鑑定には通常2〜3か月を要するため、裁判は来年以降になる可能性も。そのころ、審理日数が1週間を超える複雑な事件の裁判も始まると予想される。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081231-00000038-yom-soci