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2007年12月30日(日) 21時41分

「税金戻ります」還付金詐欺が急増 被害7億3800万円産経新聞

 税務署や社会保険事務所の職員らを装い、電話で税金などを還付するとだまして金を振り込ませる「還付金詐欺」が急増している。東京都内では今年1〜11月に689件、被害総額も7億3800万円を突破しており、平成18年比で約3倍増。以前からあるオレオレ詐欺などが減少傾向にある中、今月には1件で2000万円がだまし取られる還付金詐欺の高額被害もあり、警視庁など警察当局では注意を呼びかけている。(加田智之)

 ■還付の口実

 還付金詐欺は18年6月ごろから被害が確認され始め、都内で18年に認知された事件は233件。
 19年に入っても増加傾向は止まらず、18年の同期比で527件、3倍以上の増加となっている。
 件数が増加傾向を強める中、以前からあるオレオレ詐欺などと同様、巧みな話術で1人の被害者から複数回にわたって現金を詐取する犯行も目立ち始めている。
 還付の“口実”はさまざまだ。
 税金だけでなく、医療費や電話料金、保険金が「戻ってくる」などと偽り、その手続きを装って金を振り込ませている。
 犯人側は不正に入手した携帯電話から、税務署や社会保険庁、市役所の職員などを名乗って電話をしてくることが多い。

 ■高齢者狙い

 狙われるのは、やはり主に高齢者だ。
 今月中旬には、東京都江戸川区の無職女性(74)の自宅に、江戸川区社会保険事務所の職員を名乗る男から電話があり、「医療費の還付金が2万円くらいある。手続きがあるのでキャッシュカードを持って銀行に行ってほしい」と説明。
 女性は携帯電話で男に指示されるがままに、現金自動預払機(ATM)を操作し、6回にわたって現金計約2000万円を指定された口座に振り込んだという。
 女性は口座の残高を言葉巧みに聞き出され、振り込みを続けさせられていた。
 1件の被害総額が500万円を超えた事件は、ほかにも19年3月以降だけでも都内で8件認知されている。

 ■4類型に

 警察庁は従来、振り込め詐欺として「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」の3類型を定義。都内では、これら3類型の振り込め詐欺が18年に3150件も認知されたのに対し、19年は11月末までで2375件にまで減少している。だが、これに還付金詐欺を加えると、18年からほぼ横ばいの発生が確認されたことになる。
 警察庁の統計によると、18年11月に全国で確認された還付金詐欺の被害は135件(総額1億6500万円)だったが、19年11月は379件(同4億8600万円)にまで急増している。
 こうしたことから、警察庁では19年10月、還付金詐欺を統計上「振り込め詐欺」に含めることを決めた。還付金詐欺は、不特定多数の被害者に電話をかけるなどの手口が3類型の振り込め詐欺と極めて似ているためだ。
 警視庁は「3類型の振り込め詐欺のグループが、還付金詐欺に移行しているのではないか」と分析。その上で「役所の職員がATMの操作をお願いすることはない」と注意を呼びかけている。

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