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2007年12月29日(土) 10時19分

「司法待たずに中国人退去強行」 東京地裁、入管を批判朝日新聞

 留学中にエステ店で働いたとして摘発された中国籍の女性(33)が、国を相手に退去強制の手続きを進めないよう求める訴訟を起こしている最中に、東京入国管理局から強制的に帰国させられていたことが分かった。東京地裁は28日の判決で、「手続きを進める必要はない」と判断したが、本人が不在のため訴えを却下した。地裁は「司法の判断を待たずに違法な手続きが強行されたことは遺憾だ」と同管理局の対応を厳しく批判した。

 判決などによると、女性は00年に来日して04年に大学生となり、通学しながら都内のエステ店で働いていた。「1週間に28時間」まで働くことを許可されていたが、06年に店が入管法違反で摘発された際、それを超えて働いていたとして退去強制処分の対象になった。そのため、提訴して処分に必要となる収容命令の差し止めを求めた。

 判決で定塚誠裁判長は、女性の勤務時間には報酬のない待機時間が多く、実際に接客した時間は最大でも週27.75時間だったと指摘。さらに、女性が待機時間中にも宿題をしていたことや、大学のゼミの出席率が100%だったことなどを挙げ、「エステ店での就労活動が留学の特段の支障にはなっていない」と述べ、帰国させられる理由はないと結論づけた。

 だが、女性は11月16日付で退去強制命令を受け、同22日に帰国させられていた。判決直前の退去強制について、同管理局は「個別案件には答えられない」としている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/1228/TKY200712280319.html