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2007年12月28日(金) 02時54分

ニセ学位で採用・昇進 全国4大学で4教員 文科省調べ朝日新聞

 出所が疑わしい「ニセ学位」をもとに04〜06年度に採用されたり昇進したりしていた教員が、全国の4大学に4人いたことが27日、文部科学省の初めての調査でわかった。同省は全大学・短大に厳正な対応を求める通知を送ったが、関係者は「判明したのは氷山の一角」として、追加調査の必要性を指摘している。

 欧米や中国などには、ニセ学位を発行する「ディグリー・ミル」(学位工場)と呼ばれる組織がある。国内でも、インターネットなどで入手したニセ学位を示して大学の教員に採用されたり、教員採用後に経歴の箔(はく)付けで入手したりするケースも出ている。

 このため文科省は7月、すべての大学・短大1195校を対象に初の調査を開始。その結果、04〜06年度にニセ学位を重要な判断要素として採用または昇進させたケースが、国立の大分大と私大3校で見つかった。大分大は工学部の准教授の採用を取り消した。

 また、大学案内などの教員紹介欄にニセ学位を表示していたケースも、熊本大など国立大10校、公立大4校、私立大28校、私立短大4校の計46校(計48人分)あった。文科省は「非公表の前提で調べた」として、大学名や、学長や教授などの職名を公表していないが、大分、熊本両大は自主的に公表した。

 教員らが「本物」と信じているケースもあり、「偽物」と承知したうえで記入した者は特定できないとしている。

 ニセ学位に詳しい静岡県立大の小島茂教授(国際社会論)の話 文科省が調査したこと自体が、大学に緊張感を持たせたので貴重な第一歩だ。しかし、関係者の間ではニセ学位で採用された教員は数十人はいるとされており、今回の判明分は氷山の一角。文科省は今後、米韓のように大学や教員の名前を公表し、社会的制裁を加えることを検討すべきだ。

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http://www.asahi.com/national/update/1227/TKY200712270400.html