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2007年12月28日(金) 00時00分

お正月映画読売新聞

英語レッスン『今回のせりふ』

トランスフォーマー (2007) -- The Transformers

 いよいよ年末年始のお休みですね -- 今年も1年間ありがとうございました。そして来年もよろしくお願いいたします。さて今日は、「お正月映画」としてこの "懐かしい新作" をお勧めしたいと思います。


「トランスフォーマー」
DVD 発売・レンタル中
© 2006 PARAMOUNT PICTURES AND DREAMWORKS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 新作 DVD、しかもこんな大型ハリウッド作品を、このページで紹介することはあまりありません。しかしレンタル店では一番目立つ場所に置かれているし、年末年始のお休みだし、パッとド派手な作品を紹介しちゃいます。実は公開時、私はこの映画を見ませんでした。新作映画すべてを見る時間がないのはもちろんなのですが、当時「あのド派手な映像で有名なマイケル・ベイ監督が、80年代に流行したロボット玩具を描くなんて」と思っていたのは事実です。

 でもやはり先入観はよくないもの。反省しています。先日のクリスマスの夜に夫と一緒に見てみると、この映画のすばらしいコンピューター・グラフィックス(CG)とユーモアたっぷりの脚本に驚いてしまいました。

 まず CG。タイトルの "トランスフォーマー" は宇宙から地球にやってくる金属生命体で、もともとガンダムのようなロボットである彼らはラジオから飛行機まで、さまざまな機械に変身して自分の正体を隠すことができます。特に男性の方にはたまらないかもしれません。きっと、オモチャのトラックやミニカー、電車に夢中だった頃の感覚がよみがえってくるはずです。そんな彼らですが、実は2つのグループに分裂しており、人間の味方をする "オートボット" と、地球を支配したい "ディセプティコン"とが長い戦いを繰り返していました。もちろん彼らはすべてCGで描かれています。

 この映画を見て確信したのですが、やっぱりCG は「トイ・ストーリー」に登場するオモチャたちや、こうした機械の描写に使うには最高のテクノロジーなのだということです。人間など、いわゆる生命体を描いてもなかなかその生気や重量感まで伝えることはできません。ところがこの映画のロボットには見事な立体感、迫力があります。やはり、人間が作ったモノで人間が作ったモノを表現するのは無理がない、相性が良いのでしょう。

 そして彼らが変身するモノのバラエティ!トランスフォーマーたちが変身するのは、今やだれもが持っている小型の携帯電話からレースに出てくるようなクルマや大型トラック、あるいは軍用ヘリから戦車、果ては最新戦闘機F22ラプターまで(プラモデルを作る夫は隣でいちいち私にその名称を説明するのでした...ちょっと迷惑...)。この映画はメカマニアやミリタリーファンにとって別の意味で見る価値のある作品のようです。

 トランスフォーマーがそもそも地球にやってきた理由は、「オールスパーク」という技術を探すためでした(はるか昔、彼らの惑星は戦争で滅び、オールスパークが地球に落ちたのです)。オールは「すべて」、スパークは「生気、活気」という意味で、ディセプティコンはこの技術で地球の機械に生命を与え、人間を絶滅させるつもりです。途中、アメリカの諜報員がオールスパークを使い、ノキアの携帯電話に生命を与えるシーンがあります。その携帯が突然狂暴になり暴れ出すと、諜報員は「やはりサムライの国が作ったモノだ」と言います。「ノキアはフィンランドのブランドだぞ」と答える主人公ですが、海外に対するアメリカ人の無知ぶりや、アジアに対するステレオタイプと憧れを見事に風刺した場面です。

 初めにも申し上げた通り、「トランスフォーマー」は意外に頭を使ったユーモアにあふれた作品です。例えば、最初に悪役のロボットと戦うのは中東にいる米兵たちでしたが、命を狙われて必死に逃げながら、1人の兵士が民間人から携帯電話を借り、何とかペンタゴンに連絡を取ろうとします。しかし電話オペレーターはクレジットカードがないからといってつないでくれません。それどころか「弊社の割増料金プランをご存じないですか?」と売り込みを受けてしまいます!

 そうそう、主人公のことについて触れていかなければいけませんね。サムというカリフォルニアの高校生で、学校でいい成績を取ったご褒美として父親から中古車を買ってもらいます。ところがこのクルマが妙な行動を見せます。想いを寄せている女の子を家まで送ると、ラジオにラブラブムードの歌が突然かかったり…。そうです、このクルマはトランスフォーマーの1人(1台?)なのでした。

 サムを演じるシャイア・ラブーフは、今ハリウッドで最も注目されている若手俳優の1人です。のぞき見を描いた「ディスタビア」で非常に印象的でしたし、来年公開予定の「インディ・ジョーンズ 4」ではハリソン・フォードの相棒を演じることになっています。ラブーフはとても落ち着いたカリスマ性の持ち主です - - 威張ったり、観客に必死にアピールするようなところが全くありません。

 そして演技の才能も抜群。ある日サムがようやく好きな女の子と話すチャンスに恵まれます。彼女から「私たち、同じ学校なの?」と聞かれ、「小学校1年生のときから同級生。今も同じ授業は4つ受けている」と答えるサム。これまでまったく気づかれなかった恥ずかしさや、何があってもなるべく彼女のそばにいるぞ!という10代の男の子のあどけない粘り、とてもかわいらしく表現しているラブーフ。So cute!

今回のせりふ

もうすぐ新年ですので、今回は year を使った表現をご紹介します。

not in a hundred years

直訳で「100年たってもいやだ、だめだ」。したがって「決して、絶対に…しない、ありえない」という意味で使われています。

例えば、私の父はずっと共和党を応援してきました。「いつか民主党候補に投票することはある?」と問えば、恐らく「絶対あり得ない」と答えるでしょう。英語では、

Vote for a Democrat? Not in a hundred years!

get on in years

この表現は慎重に使いましょう。丁寧な言い方ですが、「年を取る」という意味で、どういうふうに言っても怒る人は怒りますね(笑)。

でもこれなら安全でしょう -- 「うちのイヌも年を取ってきた」。英語で言うと、

My dog is getting on in years.

同じ意味で get along in years とも言えます。自分自身か第三者について使うのが無難でしょう。例えば、「私の父は年を取った」というのは、

My father is getting along in years.

all year round

「一年中の、通年の」という意味です。例えば、私はハウスダストのアレルギーがあるため、一年中薬を飲まなくてはいけません。英語で言うと、

I have to take allergy medicine all year round.

take years off

このフレーズには2つの意味があります。まず、私が大好きな意味、「実際の年より若く見せる」。例えば、太った人がやせると、急にもっと若く見えることがよくあります。

Losing weight can take years off your looks.

さらに take years off one's life と言うともう一つの意味、「寿命を縮める」ということにあります。冗談で使うこともよくあります。例えば、数年前靴のヒールがズボンに引っかかり、階段の上から落ちそうになりました。とっさに手すりをつかみ落ちずにすみましたが、「寿命が3年縮んだ」思いでした。英語で言うと、

That probably took three years off my life.

同じように、add years to は「実際より年取ったように見せる」と、「寿命を延ばす」という両方の意味があります。例えば、濃すぎる化粧は年齢を隠すどころか、実際より老けてみせることありますね。

Too-heavy makeup can add years to the face.

そして「禁酒しただけで寿命が長く延びる」は英語で、

Giving up drinking can add many years to your life.

や、 は、音声・動画ファイルです。ご覧いただくには、動画再生ソフト Real PlayerまたはWindows Media Playerが必要です。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/heather/h_dvd/20071228et10.htm