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2007年12月28日(金) 08時01分

不正規学位46校48人 文科省初調査 採用・昇進に使用も産経新聞

 実態のない大学の“学位”を販売する「ディプロマ・ミル」(学位工場、DM)などによる学位商法問題で、公的な認定を得ていない海外の大学などの“学位”を使用している教員が国公私立大学・短大46校に計48人いることが27日、文部科学省の初の実態調査で分かった。なかには、国立大の採用や昇進の条件を満たすために使用された悪質なケースもあった。文科省は「学生を誤解させ、大学の信頼性を低下させかねない」として各大学に注意するよう求めている。

 調査は、国内で学位商法問題が注目されたことを受け、国内の国公私立の全大学・短大計1195校を対象に、今年7月から実施。米国や英国、中国など4カ国の安全な大学を紹介する「ホワイトリスト」に登録されていない大学の学位を使用する教員(教授、准教授、講師、助手)の人数を質問していた。

 この結果、今年3月末時点で、該当する“学位”を大学の紀要や入学案内、ホームページなどに記載していた教員は、46校で48人にのぼった。学校名は公表していないが、内訳は、国立大10校に10人、公立大4校に4人、私立大28校に29人、私立短大4校に5人だった。

 文科省によると、大学は、記載の削除や使用を慎むよう教員へ注意するといった対応をしているという。

 また、平成16年度から18年度までの3年間を対象に調査した結果、教員としての採用や昇進の審査書類に記載していたのは、43校48人。内訳は、国立大7校に8人、公立大3校に4人、私立大26校に28人、私立短大7校に8人だった。

 このうち、記載した“学位”が、採用や昇進の審査の開始条件だったり、重要な判断要素だったケースが、国立大1校(1人)と私立大3校(3人)であった。各大学では、今後の対応を検討中という。

 この問題をめぐっては、大分大学が今年10月、工学部の准教授が採用時に、応募資格である「修士以上の学位取得」を満たすため、公的な認定を得ていない米大学の「修士号」を使用していたとして、雇用契約の取り消しを決定していた。

 同省高等教育局は27日付で各大学へ通知を送り、「正規の学位を授与する機関として(学位商法)問題への教職員の自覚を促すように」などと厳正な対応を要請した。

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【用語解説】学位商法問題

 学位や称号を販売する機関「ディプロマ・ミル」(学位工場、DM)や、質が低く公的な認定を受けていない大学などが発行する“学位”が、キャリアアップやビジネスに悪用されている問題。米国ではこれらの使用者が捜査当局による摘発や公職追放を受け、社会問題化している。韓国でも逮捕者が出ている。


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