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2007年12月27日(木) 14時36分

吉田警視、神世界サロン共同経営か…上部組織への上納担当読売新聞

 神奈川県警の前警備課長・吉田澄雄警視(51)の関与が疑われている霊感商法事件で、県警は、「神世界」(山梨県甲斐市)系列の東京・赤坂のヒーリングサロンで上部組織への上納業務を任されるなど、吉田警視が事実上、共同経営者だったとの見方を強めている。

 同サロンなどが詐欺容疑で捜索されて27日で1週間が過ぎ、県警は全容の解明を進めるとともに、吉田警視が架空の投資話で部下から金を集めた行為が詐欺に当たるかどうかについても慎重に捜査している。

 県警が、横浜市の男性会社役員(44)が2004年、祈願名目で約490万円をだまし取られたとされる詐欺容疑で、「びびっととうきょう・青山サロン」(東京都港区)など「神世界」系列企業を捜索したのは今月20日。

 これまでの調べで、吉田警視はサロンを経営する杉本明枝社長(44)に多額の資金援助を行う一方、サロンの会計を担当、上部組織への上納業務などを行っていた。吉田警視は、被害者とされる男性に「神世界は本物」などと語り、サロンに誘い込む役割も果たしていた。

 さらに、吉田警視は今年2月、杉本社長から「税金を払えない」と頼まれ、警察学校教官時代の教え子らに架空の投資話を持ちかけ、4、5人から計430万円を集めた。吉田警視は1000万円前後の借金を抱えており、県警は教え子らへの返済能力に疑問があったとみている。

 16年前に知り合ったという吉田警視と杉本社長。当初の恋愛関係から特別なパートナーになっていった。

 杉本社長は23日の記者会見で、「昔は恋愛感情があった」と吉田警視との交際を認めたうえで、「今はそれを超える絶対の信頼関係がある」と強調した。

 二人が「神世界」に傾倒するきっかけは01年ごろ、山梨県の神世界本部に一緒に出かけて体験した、「ご霊光」だった。杉本社長がその帰り、吉田警視に手をかざし、初めてご霊光を試すと、吉田警視は「すごく感じる。熱くなってきた」と驚いたという。自信を深めた杉本社長が03年にサロンを開設。吉田警視も経営に深くかかわり、部下の警察官3人を勧誘、部下も別の警察事務職員を誘っていた。

 同期の出世頭で将来の部長候補とされた吉田警視。「ご霊光のおかげで順調に出世している」。杉本社長にそう話していたという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071227i105.htm