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2007年12月27日(木) 21時02分

<向精神薬取締法違反>東京の「サロン」グループなど捜索毎日新聞

 食欲を抑制させる向精神薬「マジンドール」を利用したダイエットを提唱する「メディカルサロン」グループ(東京都、代表・風本真吾医師)が、マジンドールをエステ店に不正販売した疑いがあることが分かった。近畿厚生局麻薬取締部が麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的譲渡)容疑でサロンなど約20カ所を家宅捜索。風本医師から任意で事情聴取し、捜査を進めている。

 マジンドールは医師の処方が必要で、国内では錠剤「サノレックス」として販売。高度肥満症患者の食事、運動療法の補助薬で、脳に作用して食欲を抑える。睡眠障害や嘔吐(おうと)の副作用もあると報告されている。

 調べでは、風本医師らは昨年7月上旬、グループ傘下の大阪市の「心斎橋メディカルサロン」から大阪府内の提携エステ店に、代金引き換え宅配便で20錠を販売した疑い。エステ店は向精神薬を扱う許可を得ていなかった。

 提携エステ店はダイエット希望客の問診票を心斎橋サロンにファクス送信。グループの医師が電話などで客を診療し、薬はサロンからエステ店に宅配されていた。サロンはエステ店に1錠600円、エステ店は同1000円で販売、差額はエステ店の利益だった。

 グループは全国10カ所以上でメディカルサロンを展開。別のエステ店や美容院と提携するサロンもあった。同部は昨年10〜12月、各地のサロンや風本医師が会長を務めるNPO法人「日本健康教育振興協会」(東京都)などを捜索していた。【田辺一城】

 ◇風本医師「電話だけで処方ケースも」

 「メディカルサロン」グループの風本真吾医師(44)が27日、毎日新聞の取材に応じ、容疑を否定した。

 −−提携するエステ店に、マジンドールを不正に販売していたと指摘されているが。

 ◆事実誤認だ。エステ店から客を紹介され、その客が、処方した薬をエステ店に送ってほしいというので送っただけだ。

 −−エステ店に入る差額は、患者を紹介してもらった手数料なのでは。

 ◆エステの集金はロスが大きいため、集金の代行として、提携店に10〜30%の手数料を支払っている。決して紹介料ではない。

 −−電話で症状を聞いただけで処方することはあるのか。

 ◆極めてまれだが、北海道や東北地方に住む人に処方した。初診でも電話だけで処方したケースもある。

 −−厚生労働省などの見解では、向精神薬は対面診察で処方すべきだとされているが。

 ◆保険診療の場合はそうだが、(うちのような)自由診療では、相手の事情によりケース・バイ・ケースだ。【精神医療取材班】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000156-mai-soci