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2007年12月27日(木) 08時00分

原告団離脱、NPO申請の森上さん 望みは「肝炎撲滅」産経新聞

 薬害C型肝炎訴訟で、全国原告団からひとり離脱し、肝炎の撲滅に向けた活動に取り組む原告がいる。大阪訴訟の原告だった森上悦子さん(58)だ。肝炎の治療体制の整備などを国に求めるため、夫の操さん(60)らとNPO法人設立を目指して、持てる力を振り絞っている。

 悦子さんは昭和49年1月、長男の出産時に血液製剤「フィブリノゲン」を投与された。13年後の62年、感染が判明。長い闘いの始まりだった。

 薬害に限らず「肝炎」という病気に苦しむ患者と触れあう中で、治療体制の整備や医療費助成などを確立する必要性を痛感。平成16年、全国の肝炎患者の家族らと「肝炎家族の会」を結成し、国会議員への陳情を重ねた。

 大阪高裁が和解骨子案を示した今月13日には、「家族の会」のNPO認証を申請。来春にも認証される見通しだ。

 一方で今年6月、悦子さんは全国原告団から離脱した。薬害の責任追及に力点を置く原告団と、訴訟の方針が異なってきたからだ。操さんは「限られた国の予算を研究や治療費の助成に充ててほしい」と訴える。

 肝がんにまで進行した病状も生体肝移植で一度は治癒したが、今は肝炎を再発。糖尿病なども併発し病院の無菌室で過ごす。目もほとんど見えなくなった。それでも心は折れていない。悦子さんは「国は一刻も早く肝炎を撲滅させてほしい。私の望みはそれだけ」。

 ≪第2次和解案、年明けに延期 大阪高裁≫

 薬害C型肝炎訴訟の和解協議をめぐり、大阪高裁は26日、年内にも示す予定だった第2次和解骨子案の提示を来年に延ばすことを正式に決めた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000083-san-soci