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2007年12月26日(水) 10時51分

批判招いた甘い対応 年金施設閉鎖へ読売新聞

花巻市長、雇用の場減少に「悔しい」

 不透明な随意契約の舞台となった年金施設が、来年6月で閉鎖される見通しになった。「国民年金健康保養センターはなまき」(花巻市金矢)が、社会保険庁OBの及川洋吉センター長(66)の設立した有限会社に随意契約で業務委託などをしていた問題。施設を運営する財団法人・県国民年金福祉協会(理事長=大石満雄・花巻市長)は25日、センター運営からの撤退と協会解散の方針を決めた。

 同協会は問題発覚後の10月、及川センター長が設立した有限会社「金矢温泉商事」を解散させ、幕引きを図る考えだった。しかし、及川センター長が留任し、同社から得た報酬約1100万円も不問にされたことなどに、国会でも批判が噴出。11月には岩手社会保険事務局が事実上、及川センター長の更迭を求める異例の改善勧告を行っていた。

 一連の経緯を受け、及川センター長を含め理事8人全員が辞任の意向を示したが、大石市長はこれを預かり、来年6月でセンターを閉鎖する案を示した。

 この日の理事会で同案は了承され、全理事が施設閉鎖まで役職にとどまることも決まった。大石市長は理事会後の記者会見で、「仕事を全うすることで責任を取ってもらう」と強調。約30人の職員の再就職を支援する考えも示した。

 同センターは現在、社保庁から資産を引き継いだ独立行政法人が売却先を探しているが、県有地の貸借料などがネックとなり、困難とみられている。大石市長は「何かを判断する場合は社保庁の許可が必要なことなど、センター運営は非常に制約が多く、協会ではとても責任を全うできない」と制度上の問題を指摘し、「地方の雇用の場がなくなる方向で話を進めなければならず、非常に悔しい」と無念の表情で語った。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20071226-OYT8T00048.htm