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2007年12月25日(火) 14時33分

組員と気づかず…大手レンタカー、山口組に「足」提供読売新聞

 大手レンタカー各社が貸し出したマイクロバスが、指定暴力団山口組総本部(神戸市灘区)の定例行事で、全国から集結する数十人の幹部らの送迎用に使われていたことがわかった。

 各社とも約款では「暴力団は拒否」と定めているが、各営業所に個人名などで申し込みがあり、「組関係者とわからずに貸してしまった」と説明している。定例行事は最高幹部から指示が出されるなど組織の維持・拡大が目的で、各社はそれぞれの契約者に今後は拒否する意向を伝えた。

 山口組側への貸し出しが明らかになったのは、大阪、神戸のトヨタレンタリースと、全国でレンタカー事業を展開する日産フィナンシャルサービス、オリックス自動車の各営業所。

 いずれも、客に交付する「貸渡(かしわたし)約款」には「暴力団やその関係者、反社会的組織に属していると認められる場合」は契約を拒否すると明記している。ところが、11月5日に総本部で行われた「定例会」で、全国約90の直系組織の組長らが新幹線の駅などから分乗してきた6、7台のマイクロバスは、大手各社から貸し出されていたものだった。

 定例会は、幹部が勢ぞろいして、警察への対策や資金集めなどについて指示を受けるなど「4万人組織の引き締めを図る象徴的な行事」(捜査幹部)。過去には数千万円の上納金が集められたことも確認されており、現在は原則として1、8、12月を除く毎月5日に行われている。

 各社のバスが使われるようになった時期は不明だが、少なくとも数年前から続いていたとみられる。

 各社によると、各営業所に来たのは別々の人物で、使用目的は「ビジネス」と答えていたという。いずれも「山口組の定例会に使われていたとは知らなかった」と説明している。

 読売新聞の指摘を受けて、各社が11月下旬に契約書に記載された連絡先に電話したところ、一部は組事務所だったため、「次回は貸せない」と伝えたという。各社の広報責任者は「今後は定例行事の日の予約に対しては、使用目的の確認を徹底する」と話している。

 ただ、今までと別の人物が借りに来た場合については、「身なりなどで組員と断定するのは容易ではなく、『暴力団とは関係ない』と主張されれば、チェックしきれない可能性もある」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071225i107.htm?from=navr