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2007年12月23日(日) 17時38分

遠隔ヒーリング称し、来店なくても請求 「神世界」事件朝日新聞

 神奈川県警の前警備課長吉田澄雄警視(51)が関与した疑いのある有限会社「神世界(しんせかい)」の霊感商法事件で、吉田警視は、詐欺容疑での家宅捜索のきっかけとなった被害男性(44)に、「癒やし」サロンに来店しなくても「癒やされた」ことになる「遠隔ヒーリング」名目でも金銭を請求していたことが22日、関係者の話で分かった。吉田警視は、この男性に名刺を渡しており、県警は、警察の人間がかかわっていることを知らせて信用させた疑いがあるとみて、警視がどのように関与していたかを調べている。

 関係者によると、役員をつとめる会社の業績不振で悩んでいた男性は04年3月ごろ知人に紹介され、その後、東京都港区にある「びびっととうきょう・青山サロン」など数カ所のサロンに通うようになった。知人からは「警察の偉い人もいるので安心」と誘いを受けたという。

 県警の調べでは、このサロンは神世界の関連会社の役員女性(44)が経営している。男性は04年4月、青山サロンを訪れ、この役員女性らから運勢判断などを受けた。その際、「業績アップには特別祈願が必要。最低200万円、最高で7000万円かかる」とうそを言われ、490万円をだまし取られたという。

 関係者によると、その1カ月ほど後、男性は神世界系の祭典に参加した際、吉田警視と知り合い、神奈川県警の階級などが入った名刺を手渡されたらしい。

 サロンでは、遠く離れていても効果があると称した「遠隔ヒーリング」を行っていた。サロン側から利用者に「今、遠隔ヒーリングをしたので、お金を振り込んで」と、携帯電話などにメールが来る。男性は週に2、3回受けたことになっていて、吉田警視からも「遠隔ヒーリングしました」とのメールが届いていたという。

 男性は今年3月ごろ活動に疑問を感じて通うのをやめたが、それまでにかけた費用は総額1600万円にのぼるという。

 また、吉田警視は、役員女性の依頼を受け、会社の経理を担当するとともに、運転手を務めたり、今年何度か東京都世田谷区で開いた顧客向けの講習会には一緒に出席したりしていたという。

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