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2007年12月22日(土) 08時23分

「女性役員のため集金」と吉田警視 サロン営業資金に朝日新聞

 神奈川県警の前警備課長吉田澄雄警視(51)が関与した疑いのある「神世界(しんせかい)」の霊感商法事件に絡み、部下から集めた430万円について、吉田警視は「投資話はうそだった。サロンの営業資金として女性のために集めた」と話していることが21日、分かった。女性は、詐欺容疑で捜索された神世界関連会社の役員(44)で、別にサロンの開業資金として警視が提供した額は1000万円だった。相次ぐ資金提供から、警視がサロン運営に深く関与していたとみて、県警は調べている。

霊感商法事件の構図

 警視はこれまで、430万円について、投資や警察学校の教え子からの借金などと県警の任意聴取に説明していた。開業資金については「貸した。月々20万円の返済を受けている」と話しているという。

 女性経営の会社は東京都港区内の高級賃貸マンション13階にある「E2(イースクエア)」。同20階では「びびっととうきょう・青山サロン」を運営している。両部屋とも吉田警視が名義人か連帯保証人になっている。

 調べでは、吉田警視が女性と知り合ったのは伊勢佐木署(横浜市)時代の91年。その後、女性に「体の調子が悪い」と相談したところ、女性が当時運営していたサロンを紹介されたという。

 女性が03年に港区内で現在のサロンを開業。04年ごろに「事務所が忙しいから手伝って」と依頼されて、吉田警視は会計担当などをしたという。週に2、3回、「E2」と兼用の女性宅に泊まり込んだという。

 サロンとかかわり始めた一方、吉田警視は「悩みがあるなら、いいところがある」などと県警の部下3人を勧誘して同サロンに連れて行った。うち1人はサロンとは別の部屋の連帯保証人になっている警察署警備担当次長の警視(47)で、300万円を使ったという。警察署の巡査長(36)が霊感グッズの購入などに約700万円をつぎ込んだという。

 県警は20日、この女性がサロンで04年4月、横浜市内の会社役員男性(44)に「業績アップには特別祈願が必要」などとうそを言い、490万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で家宅捜索した。21日までの2日間で、神世界の関連拠点のほか、県警警備課長室や吉田警視宅など約70カ所を捜索した。

 押収したのは、神世界や関連団体が販売していたとされる「神書」などの霊感グッズ、占い関係資料、玉串一覧表、通帳など段ボール550箱分で、今後は資料の解析をし、組織の実態や金の流れなどを調べる。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY200712210393.html