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2007年12月22日(土) 00時00分

きらやか銀 1506万不正貸出読売新聞

長井中央支店渉外課長,懲戒解雇し被害届

 きらやか銀行は21日、長井中央支店(長井市)の元渉外課長の男性(41)が、自身の資金や顧客の預金などを個人で第三者に貸し出す「浮き貸し」をしていたことを明らかにした。浮き貸しの総額は1506万円。浮き貸しは不正貸出行為として出資法で禁止されており、同行は元課長を今月5日付で懲戒解雇処分とするとともに、長井署に被害届を出した。

 同行によると、元課長は2004年2月〜今年11月に、10の個人・法人に対し、累計1506万円を行内の審査を経ないで勝手に無利子で貸し付けた。

 元課長は当初は自分の資金を使って貸し付けを行い、その額は計541万円に上った。だが、自己資金だけでは足りなくなり、05年9月からは銀行の顧客の口座から預金を不正に流用して融資に充て、それを穴埋めするためさらに別の顧客の口座から預金を流用するなどの手口で貸し付けを続けていた。こうした手口で流用した額は、20の個人・法人から累計で2282万円に上るという。

 11月9日に、「預けていた普通預金の通帳が返却されない」と客から連絡があり、今回の問題が発覚した。調査の結果、不正流用した2282万円のうち390万円が返金されていなかったため、同行が全額弁済した。一方、貸し付けられた1506万円のうち637万円が未回収という。

 元課長は浮き貸しを続けたことを認め、「融資を頼まれ、断り切れなかった」と話したという。21日夕、山形市旅篭町の本店営業部で記者会見した長谷川憲司頭取は「高い信用を求められる銀行業で、不祥事件を起こしてしまい、おわび申し上げます」と陳謝した。また、日下部茂樹専務は元課長について、「上司に報告できない気の弱さがあった」と説明した。

 長井中央支店では、合併前の旧殖産銀行時代、顧客の預金口座を不正に解約して2口座から約60万円を盗んだとして、主任だった女が今年7月に長井署に窃盗などの容疑で逮捕される不祥事があったばかり。今回の不祥事を受けて同行は、満期案内を全顧客へ発送するなどして預かり証の管理を徹底するほか、毎年1回、人事部が全行員に対し面接を行って勤務状況などを詳細に把握することにした。また、監査部門を増員し、監査を行う周期も現在より短くするなど、チェック機能を強化するとしている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20071221-OYT8T00745.htm