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2007年12月22日(土) 01時30分

独法改革 合理化計画を着実に実行せよ(12月22日付・読売社説)読売新聞

 101の独立行政法人(独法)のスリム化が、ある程度は進むことになったと言えよう。

 政府の独法整理合理化計画案がまとまった。メディア教育開発センター、日本貿易保険など6法人を廃止・民営化、研究機関を中心に16法人を6法人に統合し、計16法人を減らす。24日に閣議決定する。

 焦点の都市再生機構は3年後、住宅金融支援機構は2年後に、それぞれ民営化の是非の結論を先送りした。この問題で、福田首相が強い指導力を発揮する場面は、最後まで見られなかった。

 渡辺行政改革相のパフォーマンスが調整を混乱させた面も否めない。テレビ番組などでハデな言動を繰り広げつつ、けんか腰で閣僚折衝に臨み、独法の各主管省庁の感情的な反発を招いた。

 それでも、計画案には、全体の65%に当たる222の事務・事業の見直しや、職員の削減・非公務員化、職員宿舎を含む保有資産の売却など、詳細な内容が盛り込まれた。個別の事務の必要性を一つ一つ点検した膨大な作業の成果だ。

 全法人を対象とする「横断的措置」としては、金額ベースでの随意契約率を48%から14%へ国並みに引き下げるとともに、20法人の29事業に官民競争入札を導入する。一部の独法トップの高額な給与を事務次官以下に引き下げるなど、給与水準も適正化する。

 独法改革はこれで終わりではない。主管省庁が計画を“骨抜き”にしないよう、政府の行政改革推進本部が実施状況を監督するとともに、計画のさらなる見直しにも積極的に取り組む必要がある。

 1年後に存廃を判断する雇用・能力開発機構については、職業訓練業務を「民間で実施していない訓練に特化」し、生涯職業能力開発促進センターを廃止する。実績の乏しい雇用助成金は廃止し、雇用促進住宅の売却を加速する。

 こうした計画を厳格に実行すれば、機構自体の廃止の方向性も見えてくるのではないか。首相官邸が責任を持って最終判断をしなければならない。

 独法と関連法人の関係、特に人と資金の流れにも、メスを入れる必要がある。独法の多くの職員が、独法の事業を受注している関連法人に再就職している。緑資源機構の官製談合事件で露見したように、再就職の見返りに事業で便宜を図っていないか。厳しい監視が必要だ。

 独法改革は、組織の廃止や事業の縮減だけが目的ではない。国立公文書館や、国民生活センターの消費者相談、都市再生機構の低所得者向け賃貸住宅のように、公的機関の事業として必要なものに配慮するのは当然のことだ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071221ig90.htm