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2007年12月22日(土) 08時28分

次世代高速無線通信 KDDIとウィルコムに免許 技術力とエリア展開を評価フジサンケイ ビジネスアイ

 ■09年夏以降商用サービス

 屋外で移動中もパソコンなどから高速インターネットに接続できる次世代高速無線通信について、総務省は21日、KDDIなど6社が出資する「ワイヤレスブロードバンド企画」と、PHS(簡易型携帯電話)事業者のウィルコムに免許を交付することを決めた。同日、2社に免許を与えるよう諮問を受けた電波監理審議会(総務相の諮問機関)が妥当と答申した。2社は2009年2〜4月ごろから試験サービスを始め、同年夏以降に商用サービスを提供する方針だ。

 免許をめぐっては、2社に加え、アッカ・ネットワークスとNTTドコモなどが出資する「アッカ・ワイヤレス」、ソフトバンクとイー・アクセスなどが出資する「オープンワイヤレスネットワーク」の計4陣営が免許を申請していた。

 総務省は提出された事業計画を多岐にわたって比較審査した結果、KDDI陣営とウィルコムが、技術力やサービスエリア展開の早さなどで優れていると判断した。

 KDDI陣営は、米インテルが提唱した通信規格「モバイルWiMAX(ワイマックス)」方式の技術開発に03年ごろから取り組み、同規格の標準化を推進する国際会議「WiMAXフォーラム」の主要メンバーとなるなど、実用化研究を積極的に進めてきた。

 事業計画では、当初5年間に1万9000の無線基地局を設置するとし、すでに約3割の場所を確保している。安価で小型の基地局設備も開発しているため、低コストで迅速に事業を展開できると評価された。

 一方、ウィルコムは、国産技術のPHSを発展させた「次世代PHS」方式を採用する。既存のPHS通信網や無線設備を次世代規格と共用するため、投資効率が高く、財務面で有利だと評価された。

 次世代PHSが実用化すれば、既存のPHSが普及している中国、タイなども次世代規格を導入する可能性があり、総務省内には日本独自の技術を発展させられるとの期待もある。

 両陣営とも月3000〜4000円程度の定額制サービスを検討中。通信エリアは、12年度末に人口カバー率90%超に達するとしている。

 今回、免許を与えられなかった2陣営は、ともにWiMAX方式で免許を申請していた。今後はKDDI陣営に回線を借りてのサービス展開などが検討される見通しだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071222-00000001-fsi-bus_all