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2007年12月22日(土) 15時01分

<霊感商法>吉田警視、サロンで自ら姓名・方位鑑定も毎日新聞

 神奈川県警の警備課長を解任された吉田澄雄警視(51)=警備部付=が関与したとされる霊感商法事件で、吉田警視が県警の家宅捜索を受けた「びびっととうきょう青山サロン」(東京都港区)で客の姓名鑑定や方位鑑定まで手がけていたことが、関係者の証言で分かった。同サロンでは鑑定をきっかけに高額な霊感グッズを売りつけられた被害者もいたといい、県警は吉田警視の関与について詳しく捜査している。【池田知広、堀智行】

 関係者の証言によると、吉田警視は青山サロンで会計や総務を担当。自ら金庫を開け、スタッフに交通費などを手渡すこともあった。県警の勤務が非番の日はサロンを経営する会社の女性社長(44)の運転手を務めたり、不信感を持った常連客の説得に当たっていたほか、客の姓名鑑定や方位鑑定まで手がけることもあったという。

 サロンの姓名鑑定や方位鑑定は通常1万〜3万円程度で行われていたが、鑑定で客に「名前が悪い」などと指摘し、新しい名前が書かれた高額な色紙などを売りつけることもあった。県警は吉田警視がこうした商法にどの程度関与していたか、慎重に調べを進める。

 さらに関係者によると、吉田警視と別の県警の警察官を名乗る人物が、サロンのイベントで客に「県警はオウムの捜査もしてきて宗教には敏感になっているが、ここは宗教ではなく本物。本当に奇跡が起こる。自分は職場でも干されていたが、サロンに来て職場復帰できた」と話したこともあったという。

 県警のこれまでの調べでは、吉田警視は青山サロンが05年に家賃月150万円の高級マンションの部屋に入居する際、女性社長と夫婦を装って賃貸契約を結んでいた。

 ◇同期の出世頭でテロ対策のプロ…吉田警視

 吉田警視は神奈川県警のノンキャリアとしては順調に昇任を続け、同期の出世頭だった。

 警察学校の教官などを経て2001年に警察庁へ出向し、サッカーW杯警備を担当。02年に県警に戻ると、要人警護などを担う公安2課長代理、国際テロ対策室長を歴任した。県警では機動隊長を経験してから所属長になるのが通常とされるが、吉田警視はそれを経ず、今年9月に警備課長に就任。来年の北海道洞爺湖サミット関連の仕事などに携わっていた。

 同僚からも「物腰が柔らかく企画力もあり、将来の部長候補」「テロ対策のプロ」などと高く評価されていたが、それだけに今回の事件が県警に与えた衝撃は大きい。【堀智行】

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