記事登録
2007年12月21日(金) 00時00分

クリスマス中止のお知らせ(くりすますちゅうしのおしらせ)読売新聞


絵・唐沢なをき/文・唐沢よしこ

 12月に入ってからの町はすっかりクリスマス一色ですなあ。あちこちでクリスマスソングのBGMが流れ、商店街はもちろんのこと、最近は普通の民家もイルミネーションで華やかに飾られてワクワク感を高めています。

 しかし、そんな浮かれた喧騒(けんそう)が聞こえてくると、もてない独身犬の僕の心は暗くなるのですワン……。なぜ、なぜ日本ではクリスマスは恋人同士のイベントなのかッ。

 「どーせ、今年も彼女犬が出来なかったよ! 今年のクリスマスも一匹でさびしく過ごすのさ! ワォーン!」

 という雄たけびを上げたのが僕だけではなかったようで、この季節になるとネット上で「クリスマス中止のお知らせ」が目に付くようになります。これはもう誰が始めたのかもあまりはっきりしませんが、数年前からクリスマスが近づくと「サンタクロースが亡くなったため、クリスマスは中止になりました」という告知が掲示板などに出てくるようになりました。

 少々不謹慎ですが、ご丁寧にサンタクロースのお墓などのコラージュ画像が添えられていたりします。カップルで楽しく過ごす人々が外出したりしているのに対して、ひとりものは家にいるので、自然とネットでこうしたやっかみ半分の冗談が出てくるという感じでしょうか。

 実際のクリスマスイブの夜には、美少女ゲームやアニメキャラを映したモニタの前にケーキやチキンを並べて、ちょっと自虐的に「私の楽しいクリスマス」を公開する人も多く現れます。冗談なのかマジメにやってるのかは少々推し量りかねますが、これはこれで楽しそうです。一昔前はさびしかったクリスマスイブも、今はネットのおかげでずいぶん楽になりました。ワンワン。

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/yougo/20071221nt0a.htm