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2007年12月20日(木) 00時00分

公金流用事件 前那賀町長に懲役10年求刑読売新聞

「町民欺き続けた責任重い」

 町名義で農協から不正借り入れを行い、町に損害を与えたなどとして背任と詐欺の両罪などに問われた前那賀町長、日下正隆被告(62)に対する論告求刑公判が19日、地裁(畑山靖裁判長)で開かれ、検察側は「善良な町長を装い、国民や住民の払う血税を食い物にして町民を欺き続けた刑事責任は重い」などとして懲役10年を求刑した。判決は来年1月29日。

 論告によると、日下被告は旧鷲敷町教育長だった1994年、先物取引を開始。旧鷲敷町収入役や町長など特別職の立場を利用し、横領した公金を使い続け、約9年9か月間、通帳を自ら管理するなど隠ぺい工作を図った。

 検察側は「町民の悪夢は依然として続いており払拭(ふっしょく)の見通しも立っていない」などと厳罰を訴えた。

 弁護側は「甚大な被害を与えたことを十分にかみ締めている。可能な限り、被害を回復するよう努力している」などと情状酌量を求めた。

 町民ら約30人が傍聴席で見守る中、白のジャージーにスラックス姿の日下被告は「罪の重さを胸に刻み込みしょく罪の道を全うしたい。誠に申し訳ありませんでした」と述べ、深々と頭を下げた。

 傍聴した那賀町の無職男性(55)は「損害を次々に拡大させたことに今でも怒りを覚えるが、求刑は妥当ではないか」と話した。

 坂口博文町長は「なぜ公金に手をつけたのか、途中でやめられなかったのか、むなしい気持ちになった。前町長に裏切られた町民の怒りや、町が肩代わりした3億8500万円の損失は消えることはない。複雑な心境だ」と話した。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokushima/news/20071219-OYT8T00654.htm