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2007年12月20日(木) 19時04分

「会社、首切り場だった」除霊に490万円 霊感商法朝日新聞

 「除霊しないと不幸になる」——。神奈川県警幹部の関与が疑われる霊感商法に、県警が詐欺容疑で強制捜査に踏み切った。有限会社「神世界」のグループ会社の相談者らは、不安をあおられ、高額のお金を支払っていたという。そんな被害の実態が、関係者の証言などで次第に明らかになってきた。

 警備課長だった吉田澄雄警視が賃貸契約の名義人となっていた東京都港区のマンションの1室「びびっととうきょう・青山サロン」。この場所で04年4月、横浜市内に住む40代の会社役員の男性が、女に告げられた。

 「あなたの会社は戦国時代は首切り場だった。そこで処刑された人の霊が地縛霊としてさまよっています。業績アップをするためには特別祈願が必要で、最低200万円以上、最高で7000万円かかる場合もあります」

 約1カ月後、男性はサロンを訪れ、除霊のために、現金490万円を支払ったという。

 サロンでは、運勢判断や姓名判断が行われ、祈願、除霊の名目で多くの人たちが多額の現金を要求されていたという。こうしたサロンが全国に点在しているとされる。

 被害者たちがつづるホームページに体験談を寄せた女性も、1000円という値段の安さにひかれ、ヒーリングサロンに体験入会した。通い続けているうちに、「ちょっと良いことが起きるようになり、ヒーリングのおかげかも」と信じるようになったという。

 数カ月後、先生と呼ばれる人がサロンに来るようになると、料金が5000円に上がり、宗教めいた発言も。そんなとき、スタッフから電話があり、「会主様が、あなたたちに会っておかないといけない、と思ってくださりました。1万円でいいと言っています」。

 霊視鑑定を受けたところ、「先祖の中に悪行をした人のたたりがあなたにくいついている。何とかしないとあなたの子どもが危ない」と告げられた。女性は怖くなって10万円の「お守り」をその場で購入した。

 さらに「除霊祭を特別にしてあげますから、除霊費1万円と1万円以上の御玉串料を用意してほしい」と言われた。

 別の女性は12年前、子どものぜんそくがよくなったのが『会主様の御霊光』によるものと思い、御神業にのめり込んだ。御霊光を受けるたびに5万円を支払い、大祭の際には50万円を包むなどしたという。

 横浜市消費生活総合センターにも10月26日、「神世界」に関する相談が寄せられた。女性は「友人が宗教団体のようなところに興味をもって、何か商品を買っているようだ。心配なのでやめさせたい」と電話口で話したという。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会が今月4日、「スピリチュアル・霊感被害110番」で相談を受け付けたところ、「神世界」関係の相談が12件あったという。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/1220/TKY200712200317.html