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2007年12月15日(土) 00時03分

発砲事件、今年になって多発 昨年比17人増朝日新聞

 今年に入って暴力団の抗争など発砲事件が増える中、また市民が犠牲となった。長崎県佐世保市の銃撃事件は、子どもたちも集まるスポーツクラブで無差別に乱射するという、かつてない凶悪さを示している。どうして社会から銃がなくならないのか。犯行の動機は何か。

 警察庁によると、全国の発砲事件は01年の215件から年々減少し、05年に100件を割り、06年は53件まで減った。06年の死者は2人、負傷者は17人だった。ところが、今年になって発砲事件が多発。11月末現在で昨年同期より10件多い54件が発生。19人が死亡し、11人がけがをした。このうち一般人の死者は8人、けが人は6人だった。

 4月には長崎市の伊藤一長市長が選挙遊説後に暴力団幹部に撃たれ死亡。東京都町田市の公営住宅では暴力団員が立てこもり、拳銃を乱射。さらに5月には愛知県長久手町で元暴力団員が駆けつけた警察官に拳銃を発砲、自宅に立てこもり、撃たれた警察官を救出しようとした県警特殊部隊(SAT)の隊員が撃たれ死亡した。8月以降は、九州で指定暴力団道仁会と九州誠道会の対立抗争などを巡る発砲事件が相次いでいる。

 今回の事件では散弾銃が使用されたとみられる。同庁によると、猟銃所持の許可を受けているのは06年末現在で30万5179丁で、このうち散弾銃が26万3725丁、ライフル銃が4万1454丁。散弾銃の発砲事件は、2月に埼玉県熊谷市の飲食店で自営業の男が口論になった男性を射殺し、その後自殺する事件などが起きている。

 銃による犠牲が後を絶たないことを受け、暴力団などによる銃器犯罪の重罰化を柱とした改正銃刀法が11月に成立。組織の利権拡大などのために銃を隠し持ったり、発砲事件を起こしたりした場合、通常より刑期や罰金を引き上げる規定などを盛り込んだ。今月末に施行される。

http://www.asahi.com/national/update/1214/TKY200712140358.html