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2007年12月13日(木) 23時59分

<三菱自タイヤ脱落>製造者責任、厳しく指摘毎日新聞

 三菱自動車(現在は三菱ふそうトラック・バス)製大型車のタイヤ脱落・死傷事故を巡る13日の横浜地裁判決は、製品の安全に対し企業ばかりでなく企業内の担当者が社会に負うべき厳しい責任を指摘した。三菱自動車の欠陥隠しをめぐる三つの刑事裁判のうち、昨年12月の横浜簡裁判決は同社の虚偽報告について無罪を言い渡したが、この日の地裁判決は製造者の責任が強く問われる時代の流れを意識した内容といえる。

 地裁判決は当時の三菱自について「リコール回避の姿勢が顕著だった」と改めて隠ぺい体質を指摘し、さらに2被告が品質保証部門の責任者だった点を重視した。99年のバス事故を受けて開かれた会議で、元グループ長がリコールに対する懸念を「摩耗が原因」という別の原因説に従って簡単に引っ込めたり、元部長が詳しい調査を指示しなかったりした点を「漫然と放置した」と指弾した。

 またハブ破断の原因を整備不良などとした弁護側の主張に対し「製造者は、市場の実態として考えられる程度の基準の逸脱は想定する必要がある」と安全対策で果たすべき責任を厳しく認定。規制緩和の流れの中でリコール制度など「事後規制」の徹底を求める姿勢もうかがえた。

 来年1月16日にはクラッチ欠陥の放置により業務上過失致死罪に問われた三菱自元社長の河添克彦被告(71)ら4被告への判決が同地裁で言い渡される。三菱ふそうでは先月、リコールをして改良したクラッチ系部品に亀裂や破断が相次ぎ、約5万台を再点検すると発表しており、安全管理の課題はなお残されたままだ。【鈴木一生】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071213-00000157-mai-soci