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2007年12月12日(水) 02時31分

<脱税疑惑>大分県、キヤノンに造成地を18億円安く売却毎日新聞

 大手ゼネコン「鹿島」からの裏金など約30億円を申告せず、大分市のコンサルタント会社「大光」(大賀規久社長)が東京国税局の強制調査(査察)を受けた問題で、大光が誘致に関与した「キヤノン」子会社工場建設の際、大分県土地開発公社が、造成地を実際にかかった費用より約18億円安く売却していたことが分かった。差額分は、県が公社に補てんしており、県は「工場誘致を巡る競争を勝ち抜くために必要な措置だった」などと説明している。

 この工場は、キヤノンのプリンター関連生産子会社「大分キヤノンマテリアル」大分事業所。05年6月、デジタルカメラ生産子会社「大分キヤノン」工場の隣接地に進出が決まり、県は造成地を50億円でキヤノンに売却すると約束した。しかし、造成地の起伏が激しかったことなどから、実際の工事にはこれより18億円多い約68億円かかった。

 しかし、県は工場進出による税収増や雇用効果などを考え、差額の約18億円を公社に補助金で補てん。公社は当初の約束通り、50億円で売却した。

 補助金支出については、06年の同県議会が承認しているが、市民グループが今年10月「地形を見れば、50億円で済まないことは分かったはず。キヤノンと誠実に価格交渉した形跡もない」として、県監査委員会に住民監査請求をしている。

 一方、大分県の広瀬勝貞知事は定例会見(10日)で、大賀社長との関係について「(03年に初当選した)選挙の関係でお世話になった」と説明。同工場の誘致に大賀社長の果たした役割について「キヤノンのことで知っていることもあるから、いろいろ教えてもらっている。そういう意味では一つの意味があったのかもしれない」と話した。【高島博之、村上尊一】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071212-00000008-mai-soci