記事登録
2007年12月12日(水) 21時18分

<年金記録問題>野党、政府追及 入力漏れも4500件判明毎日新聞

 5000万件の宙に浮く年金記録のうち2割弱の945万件の統合が困難と判明した社会保険庁の調査結果を受け、野党側は12日の衆院厚生労働委員会で舛添要一厚生労働相ら政府の責任をただした。民主党の長妻昭衆院議員の質問に対し、社会保険庁の坂野泰治長官は手書き記録や領収書が残っているにもかかわらず、コンピューターのオンライン上に存在しない入力漏れ記録が国民年金ですでに4487件確認されていることを認めた。

 宙に浮く年金記録問題はオンラインに登録された記録の統合をめぐる問題だが、そもそも手書き台帳からコンピューターに入力される段階で漏れていた納付記録が相当数あるとみられている。長妻氏が内部資料をもとに追及したのに対し、社保庁は、昨年8月〜今年9月、同庁に「オンラインに記録がない」と言われ相談窓口を訪れた人のうち、4487件について手書き記録が残っていたり、本人が領収書を持っていたことを認めた。

 手書き台帳は8億5000万枚が廃棄されず残っている。長妻氏はなお多くの納付記録が入力漏れのまま放置されている可能性が強いとして、台帳とオンラインの記録の突き合わせを急ぐよう要求。10年1月の「日本年金機構」発足までに作業を終えるよう厚労相に迫った。これに対し、厚労相は台帳との突き合わせにどの程度の人員と費用が必要かの調査を進める考えを示すにとどめた。政府は08年度は国民年金の手書き記録3300万件を対象にオンライン記録との突き合わせを実施する方向で財務省と折衝している。

 また、宙に浮く年金記録の統合作業が難航していることについて長妻氏は、厚労相が「最後のお一人まで支払う」との過去の発言を「選挙中のスローガン」とトーンダウンさせたことに謝罪を求めた。厚労相は「真意が伝わらなかったことは大変申し訳なく思う」としながら「情熱を傾けてこの問題に取り組んでいく」と強調した。【吉田啓志、大場伸也】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071212-00000150-mai-pol