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2007年12月11日(火) 16時00分

<政党ビラ配布>1審無罪の僧侶、罰金の逆転有罪…東京高裁毎日新聞

 東京都葛飾区のマンションに共産党のビラを配布するために侵入したとして、住居侵入罪に問われた僧侶、荒川庸生(ようせい)被告(60)の控訴審で、東京高裁は11日、1審・東京地裁の無罪判決(06年8月)を破棄し、罰金5万円の逆転有罪判決を言い渡した。池田修裁判長は「政党ビラ配布という目的自体に不当な点はない」と認めつつ「マンション住民はビラ配布目的を含め、部外者が立ち入ることを禁止できる。被告の行為が相当性を欠くことは明らか」と指摘した。

 弁護側は「ビラ配布は政治的表現の自由の一つとして憲法で保障されている」などとして、無罪か公訴棄却を主張した。しかし、高裁は「表現の自由は必要不可欠な基本的人権だが、他人の財産権を不当に害することは許されない。住民らの許諾を得て立ち入ることまでは禁止されていないのだから、有罪としても憲法に反しない」と退けた。

 判決によると、荒川被告は04年12月23日午後2時20分ごろ、葛飾区の7階建てマンションに入り、共産党の「都議会報告」などのビラを3〜7階27戸のドアポストに入れた。注意した住民が現行犯逮捕し、23日間にわたり身柄を拘束された。

 検察側は罰金10万円を求刑したが、1審は「ビラ配布の目的だけであれば、共有部分への立ち入り行為を刑事上の処罰の対象とするとの社会通念は、いまだ確立していない」と指摘し、住居侵入罪の成立自体を否定した。

 ビラ配りを巡っては、東京都立川市の防衛庁官舎に自衛隊イラク派遣に反対するビラを配って同罪に問われた男女3人を1審・東京地裁八王子支部が無罪(04年)としたが、東京高裁が05年に罰金10万〜20万円の逆転有罪判決を言い渡した(被告側が上告中)。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071211-00000065-mai-soci