記事登録
2007年12月09日(日) 06時53分

「お泊まり忘年会」が人気 飲酒運転厳罰化で東京新聞

 忘年会に加え、新年会で酒を飲む機会が増える季節がやってきたが、飲酒運転の厳罰化を背景に、温泉などで泊まりがけでこうした宴会を開く動きが広がっている。帰りを気にせず、じっくり腰を据えて杯を重ねられ、温泉でゆったりできるのも魅力のようだ。旅館、ホテルの側も宴会客向けの宿泊サービス料金を設定するなど利用を呼び掛ける。一方で、街の飲食店などは飲酒運転ストップの取り組みにも躍起だ。

 12月に入ってすぐの週末。愛知県蟹江町の「尾張温泉観光ホテル」で、町内の会社の社員約80人が集まって忘年会を開いた。約半数が宿泊組だ。

 幹事の男性(43)は「飲酒運転は厳禁。でも飲まないと雰囲気が盛り上がらない。泊まればお湯につかってゆっくり飲めますしね」。

 ホテル側は昨年から通常の宿泊料金より2割ほど安く設定した「宴会宿泊プラン」を用意。週末を中心に名古屋市や同県一宮市など周辺からの利用が多いようだ。7日の金曜には3グループの約70人がこのプランを利用し、泊まりがけで宴会を楽しんだ。今週末も数グループで100人以上の予約が入っているという。

 同町の旅館「湯元館」の経営者は「昨年のこの時期と比べ、宴会客の宿泊が3、4割くらい増えていると感じる」という。宴会客については、朝食付きで1泊7000円、温泉も入り放題としている。名古屋市や一宮市の中心部にタクシーで帰ると、同じ程度の金額がかかることを考えると「お得感」も人気の一因のようだ。

 飲酒客らを対象に、深夜に宿泊予約すると加盟するホテル、旅館約15軒に特別料金で宿泊できるサービスを始めているのは、岐阜市旅館組合。昨年12月から、市内の居酒屋などに共通の宿泊チケットを配布、チケットを利用した客に特別料金を適用する。

 組合の土屋邦夫事務局長は「飲酒事故防止につながればという社会貢献的な意味合い」と力を込める。一方で、「(飲酒運転)厳罰化などの影響で遠のいたお客さんを少しでも取り戻すことができれば」とも話している。

 飲酒運転の厳罰化は今年9月施行の改正道路交通法でさらに進んだ。飲酒運転者の罰則引き上げだけでなく、運転する人に酒を提供した人や、飲酒した人に運転を依頼、同乗した人に対する罰則も新設された。

◆ビール風飲料の“飲酒運転”注意 飲食店も防止策

 飲食店は、宴会帰りの飲酒運転防止にあの手この手で取り組み始めている。

 居酒屋チェーン「八剣伝」は、東海地方の一部店舗で、運転役の客にソフトドリンクを無料サービスしている。

 一方、「雰囲気だけ」という人に重宝されるのが、アルコール度数が1%未満のビール風飲料。この数年で市場が拡大したが、飲んだ後の運転は原則禁止。各メーカーとも「アルコールゼロと誤解しないように」と呼び掛けている。

 愛知県内で約30店を営業する居酒屋「世界の山ちゃん」では、ビール風飲料を「アルコール飲料」と客に示し、ソフトドリンクと明確に分け、ドライバーの“飲酒”防止に努めている。

 また、宴会客自身が自衛策を取るケースも。愛知県南知多町の旅館によると、車で来た人が「アルコールNO!」と書かれたワッペンを浴衣に張ったり、車の鍵をフロントに預けたりして、防止に努めるグループもいるという。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007120990065326.html