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2007年12月07日(金) 14時35分

偽造カードで高速料金、運転手逮捕…背後にカード密売団か読売新聞

 高速道路の通行料金を偽造クレジットカードで支払ったとして、警視庁がトラック運転手の男を詐欺容疑で逮捕していたことがわかった。

 この男は「サービスエリア(SA)で見知らぬ男に偽造カードの購入を持ち掛けられた」と供述している。

 カード各社によると、偽造カードを使った高速料金の不正支払額は、昨年、全国で約1億7000万円に上っており、同庁は、燃料代の高騰に苦しむトラックの個人運転手らを狙って偽造カードを密売するグループがあるとみて捜査している。

 同庁組織犯罪対策特捜隊と武蔵野署などに逮捕されたのは、長野県須坂市、運転手羽生田悟容疑者(26)。

 調べによると、羽生田容疑者は今年4月、東関東自動車道の潮来インター(茨城県潮来市)料金所で、他人名義の偽造クレジットカードを提示し、湾岸千葉インター(千葉市美浜区)からの通行料3100円の支払いを逃れた疑い。

 供述によると、羽生田容疑者は4月ごろ、関越自動車道の埼玉県内のSAで休憩中、見知らぬ男に声を掛けられ、偽造カードを3万円で購入。その際、男から「ガソリンスタンドではアシがつくので高速道路で使え」と指示されたという。

 同隊などは7月、カード会社から「高速料金の支払いに偽造カードが利用されている」という情報を得て捜査を開始。各地の料金所の防犯カメラの映像や大量の通行券などを分析し、羽生田容疑者を割り出した。今月4日に逮捕された羽生田容疑者は「偽造カードを十数回(約5万円分)使った」と供述しており、同隊では余罪を調べる一方、他にも偽造カードを使用した運転手がいるとみて調べる。

 羽生田容疑者は運送業者から、生鮮食料品の配送などを個人で請け負っていた。運送代から燃料代などを引くと、利益は月30万円程度で、「月20〜30万円に上る高速代を減らしたかった」などと供述している。

 高速道路でクレジットカードを使う場合、サインや暗証番号は不要で、料金所を通過する十数秒間に偽造を見破るのは難しい。しかし、偽造が判明したカードは決済ができないシステムになっており、今回の事件でも、偽造カードの使用から数日後には、決済ができなくなっていた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071207i305.htm