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2007年12月07日(金) 16時28分

名市大汚職 補佐役教授にも現金 愛知県警、書類送検へ東京新聞

 名古屋市立大(同市瑞穂区)の論文博士学位の審査をめぐる汚職事件で、学位を申請する医師から、審査委員会を束ねる主査だけでなく補佐役の副査の教授にも現金が渡っていた疑いのあることが大学関係者らの話で分かった。愛知県警は既に副査からも事情を聴いており、容疑が固まれば収賄容疑で書類送検する方針。

 収賄容疑で逮捕された元名市大大学院医学研究科教授の伊藤誠容疑者(68)は、1996年に第一内科の教授に就任してから論文の口頭試問と語学試験を行う審査委員会の主査も務めた。審査委員会は主査1人と副査2人で構成され、主査は申請者が所属する医局の教授、副査は他の医局の教授が務めている。

 数年前、名市大で博士学位を取得した名古屋市内の開業医は「伊藤先生のほか、副査の先生にも5万円渡した」と証言。別の医師によると、学位取得の際は主査の教授に謝礼として20万−30万円の金銭を手渡したほか、副査の教授にも5万円程度を渡すのが慣例化していたという。

 別の第一内科OBの医師の話では、医局に勤務する先輩医師が学位を申請する後輩医師に対し、「主査だけでなく、副査にも渡した方がいい。額はこのくらいで」とアドバイスしていたという。

 さらに、伊藤容疑者の教授就任以前に博士学位を取った名古屋市内の開業医は「副査の教授2人にも5万円ずつ渡した。学内だと目立つので、3人の先生の自宅を訪れた」と、学位取得の際の現金受け渡しが医局の慣例だったことを明かした。こうした金銭授受について、大学側は「一切承知していない」とする一方で、「関係者を調査したい」としている。

 伊藤容疑者は2005年に実施された学位論文審査で、口頭試問の内容を事前に漏らすなど有利な取り計らいをしたとして、学位申請した5人から計百数十万円を受け取ったとして逮捕された。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007120790162856.html