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2007年12月05日(水) 17時04分

サイバーいじめ 米青少年で増加 「被害にあった」9% 匿名性で自殺例も産経新聞

 【ニューヨーク=長戸雅子】米疾病対策センター(CDC)は3日までに米国の児童らの間で電子メールやチャットなどによる「サイバーいじめ」が増加しているとする報告書「インターネットの攻撃性と若者の暴力」を公表した。

 報告書によると、10歳から17歳までの児童・青少年のなかで「サイバーいじめ」にあったと答えた割合は9%(2005年時点)で2000年の6%の1・5倍に達した。CDCによると、全米の学校から「サイバーいじめ」にどう対処したらいいかという相談が相次いだため、報告書をまとめたという。

 報告書によると、「サイバーいじめ」は携帯電話のメールなどのインスタント・メッセージによる中傷が最も一般的だが、校内でのいじめと違っていじめる側の顔が見えない匿名性が特徴。サイバーいじめを受けたと主張している生徒の多くが、「攻撃相手が分からない」と回答し、うち64%が学校ではいじめを受けていなかったという。

 報告書の執筆者らは「技術に支えられた攻撃性は『サイバーいじめ』という言葉をはるかに超えるものだ」と匿名性による問題の深刻さを指摘。「サイバーいじめ」を受け流せる子供もいるが、敏感で深く傷つく子供もいるという。

 報告書は、ネット上でのやりとりが原因とされる米ミズーリ州の13歳の少女(当時)が自殺した例を紹介。

 少女は昨年秋、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の「マイスペース」を通じて知り合ったジョシュという名の少年とメッセージのやりとりを始めたが、互いに相手を攻撃するようになり、少女は、「君がいなければ世界はもっと良くなるのに」という少年からのメールを受け取った後に自殺した。その後、少年は少女の同性の元友人とその母親らが作った架空の人物だったことが判明。ネット上の倫理をめぐる議論が巻き起こった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000127-san-int