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2007年12月03日(月) 01時19分

割賦販売法改正 信販会社の責任を明確にせよ(12月3日付・読売社説)読売新聞

 高級布団や健康器具など、不要な高額商品を高齢者らに次々と売りつける悪質商法の陰に、分割払いのクレジット契約を扱う信販会社の存在がある。

 経済産業省が、割賦販売法改正案の概要を産業構造審議会の分科会に示した。信販会社の責任を明確化し、罰則を含めた規制策を導入するのが大きな狙いだ。経産省は、来年の通常国会への法案提出を目指している。

 悪質商法の被害防止を最優先に、顧客が安心できるクレジット契約の仕組みを作ることが肝要だ。

 クレジット契約に関する、全国の消費生活センターへの相談は06年度、12万件以上に上る。「クレジットはいくらでも組める」「月々の支払いは少なくて済むから」という巧みな勧誘で、支払い能力を超えた債務を背負う例が目立つ。多重債務者に陥る人も少なくない。

 大手信販会社7社は、業務停止命令などの処分を受けた悪質業者180社と提携していた。昨年、経営破綻(はたん)し、強引な呉服販売が問題化した「たけうち」(京都市)の展示会場には信販会社員も待機し、契約を結ばせていた。販売業者と二人三脚だったと見られても仕方ない。

 改正案では、クレジット契約を扱う信販会社を登録制にする。販売業者の調査を義務づけるとともに顧客の支払い能力を超える契約を禁じ、国や都道府県の立ち入り調査や行政処分を可能にする。

 さらに踏み込んでいるのは、悪質商法の被害者が、支払い済みの代金を信販会社から取り戻せるようにすることだ。

 現行法では、被害者が販売業者との契約を解除しても、クレジット契約は残る。被害者が免れるのは事後の支払いだけだ。支払い済み代金が返還されることになれば、信販会社は悪質業者との提携を断たざるを得ず、抑止につながる。

 ただ、経産省が返還を想定しているのは、悪質業者が嘘(うそ)をついたり、無理強いしたりしたことが明らかな場合だ。

 布団や健康食品などを大量に売りつける「過量販売」、業者が行方不明になった時、認知症で顧客の判断能力が不十分な場合など、救済の対象とするかどうか、検討すべき課題は多い。

 支払い能力を超える契約を規制する基準も必要だ。契約の総額や年間支払額を年収の一定割合以下とし、基準を超えていないかどうか、信販会社に調査を義務づけることなどを検討してはどうか。

 顧客側の問題も見逃せない。年収をはるかに超える1000万円以上の呉服や宝飾品などを購入し、生活が破綻したケースもある。自分の返済能力を見極め、安易な契約を慎むことが第一だ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071202ig90.htm