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2007年12月03日(月) 13時49分

<源泉漏れ>米ファンド会社が3億4千万円 租税条約を悪用毎日新聞

 米国の投資ファンド運用会社「プロスペクト・アセット・マネジメント」の関連法人「プロスペクト・ファンディング・コープ」(PFC、東京都千代田区)が、海外の投資家に課せられる不動産投資信託(J−REIT)の分配金への課税を逃れさせていたとして、東京国税局から約3億4000万円の源泉徴収漏れを指摘されていたことが分かった。この投資家は分配金の受け皿会社を、当時、租税条約で日本の課税権の及ばなかった英国に開設していた。

 関係者によると、PFCは海外のタックスヘイブン(租税回避地)の投資家などから資金を集めJ−REITに投資し、特別目的会社を通じてマンションの賃料収入を受け取る「信託受益権」を得ていた。05年夏、PFCはこの権利を売却したため、PFCと匿名組合契約を結んでいた海外の投資家などと売却益を分配したという。

 問題とされたのは、投資していたカリブ海・バハマの投資法人で、分配金約17億円を受け取るにあたり、日本の課税権が及ばない英国に別法人を設立し、分配金を受け取る権利を譲っていた。日英の租税条約では、匿名組合契約の分配金に関する課税規定がなかったため、英国の法人は源泉徴収されないまま分配金すべてを受け取った。

 しかし、東京国税局は、英国の法人は分配金を受け取るため目的で設立されたものと判断し、PFCに源泉徴収漏れを指摘したという。

 日英租税条約は改定され、1月からは匿名組合契約の分配金についても源泉徴収されることになっている。【高島博之】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071203-00000048-mai-soci