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2007年12月02日(日) 02時31分

<エコノミー症候群>女性客に集中発生 水分不足が影響毎日新聞

 長時間の空の旅などで起きる「肺血栓塞栓(けっせんそくせん)症(エコノミークラス症候群)」は女性客に集中的に発生していることが、日本医科大千葉北総病院などによる成田空港利用客のデータ分析で分かった。同病院は「女性患者にはトイレに行きたくないから水分を取らなかったという人が多い。水を飲まないのはよくない」と注意を呼びかけている。千葉市で開かれた日本航空医療学会で1日発表した。

 分析は、94年1月〜07年7月、重症の循環器病のため成田国際空港クリニックから同病院の集中治療室に転送された旅客72人(男性38人、女性34人、平均年齢59.7歳)を対象に実施した。

 最も多かったのはエコノミー症候群で31人。急性心筋梗塞(こうそく)23人、原因不明の胸痛5人、うっ血性心不全と不整脈各3人が続く。うち2人は病院で死亡した。

 エコノミー症候群の31人のうち29人は女性。31人中27人は帰りの飛行機着陸後に発症した。

 一方、急性心筋梗塞は23人中20人が男性だった。発症時期は、行きの飛行機に乗る前が7人、行きの機内4人、渡航先滞在中7人で、往路や滞在中が多い。

 エコノミー症候群は、長時間同じ姿勢をとることで、足などにできた血栓が肺の静脈に詰まり、呼吸困難になることもある。女性は更年期を境にホルモンバランスが変化し、血液が固まりやすくなるとされる。

 同病院の畑典武・集中治療部長は「肺血栓塞栓症を起こした女性患者の中には、10時間以上一度もトイレに行かなかった人もいる。じっとしていれば血流が悪くなるし、脱水状態は血栓ができやすい」と指摘。男性の心筋梗塞については「仕事のプレッシャーが関係しているのかもしれない」と話す。【下桐実雅子】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071202-00000010-mai-soci