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2007年12月02日(日) 02時32分

<防衛汚職>守屋容疑者が処分回避指示 山田洋行過大請求毎日新聞

 収賄容疑で逮捕された前防衛事務次官、守屋武昌容疑者(63)が02年2月、海上自衛隊のミサイル誤誘導装置を巡る過大請求問題で、防衛専門商社「山田洋行」側から相談を受けた後、担当部署の職員に「山田洋行に不利にならないように」と穏便な措置を指示していたことが分かった。これを受け、同社は通常なら受ける取引停止処分を免れており、前次官が同社側への便宜にとどまらず部下に不正行為を命じたことになる。

 東京地検特捜部も一連の経緯を把握しており、ゴルフ旅行接待の見返りだったとみて前次官を追及している。

 この問題では、前次官が担当部署に電話をかけた事実は明らかになっていたが内容は判明していなかった。担当職員らは特捜部の参考人聴取に、前次官による指示に加え処分見送りが異例の措置だったことを認めているという。

 この装置は、海自の哨戒ヘリコプターに搭載し熱や金属片を発射して敵のミサイルの照準をずらす「チャフ・フレア・ディスペンサー」。山田洋行は01年3月、24セット分計約8億1000万円を受注したが、同12月、製造会社の見積書を改ざんするなどして約1億8000万円を過大請求していたことが発覚した。

 このため同社元専務、宮崎元伸容疑者(69)=贈賄容疑で再逮捕=らは社内で協議。02年2月、同社に天下りした防衛庁OBが、当時防衛局長だった守屋前次官に「上乗せは海自からの指示。山田洋行に100%の責任があるわけではない」と訴えた。前次官はこれを受け、管理局原価計算部(当時)の担当者に電話し「山田洋行の不利になることのないように」と指示したという。

 結局、同社は過大請求分を減額して再契約し処分を免れた。00年には、約3400万円の水増し請求で約8カ月の取引停止処分を受けたメーカーもあり、山田洋行は11月22日、別の2件の装備品納入で計370万円を水増し請求したとして、防衛省から取引停止処分を受けている。

 前次官は10月29日の衆院証人喚問で、担当部署への指示について「覚えていない」と証言した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071202-00000011-mai-soci