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2007年12月01日(土) 03時03分

薬害肝炎リスト放置、厚労省責任「問えぬ」 最終報告朝日新聞

 血液製剤フィブリノゲンでC型肝炎に感染した可能性がある患者418人のリストが放置された問題で、厚生労働省の調査プロジェクトチーム(PT)は30日、患者に告知しなかった5年前の同省や職員の対応について「責任は問えない」とする最終報告をまとめた。専門家会議が当時、広く肝炎患者に検査を呼びかける提言をしたことなどを根拠としたが、薬害C型肝炎訴訟の原告団からは批判の声が上がった。

 418人リストの患者のその後の病状などを調べる追跡調査は、同日設置された肝炎専門医らでつくる検討会が、実施する。

 PTは、厚労省職員や元職員47人のほか、肝炎の専門医や製剤を投与した産科医、薬害C型肝炎訴訟の原告、製造販売元の田辺三菱製薬の担当者から聞き取り調査した。

 報告書は、リストが提出された02年当時に関係した職員は全員が「患者への告知は議論しなかった」と証言。「告知に行政が介入すべきでない」と述べた職員もいた。

 これに対して報告書は、自覚症状がないまま進行する肝炎の特性を踏まえて「国は患者の視点に立って告知に配慮してしかるべきで、反省すべきだ」と述べ、「肝炎で苦しんでいる人々に思いを致すべきだという批判を組織全体として重く受け止める」とした。

 ただ、責任論については、「告知が国に義務づけられていない」などとして、「国に具体的な責任があるとまでは言い切れなかった」と結論づけた。

 田辺三菱製薬が197人の実名を把握していたのに、厚労省はそのほとんどを把握していなかったことについては、02年当時、職員3人が同社を立ち入り検査して資料を調べたものの、同社の製法処理と副作用の関係を調べることなどが目的だったため、「患者情報も含まれていたことに意識が及ばなかった」のが理由だったという。

 一方、舛添厚労相が10月16日の国会答弁で存在を否定した実名入り資料が、その3日後に地下倉庫から「発見」された問題では、資料が04年7月、職員間の引き継ぎなく倉庫に移されていたことがわかった。文書管理不備の観点から週明けに職員を処分するという。PTの責任者、西川京子副大臣は会見で「職員に隠蔽(いんぺい)の意図はなかったが、文書管理は極めてずさんだった」と述べた。

http://www.asahi.com/national/update/1201/TKY200711300365.html