記事登録
2007年10月31日(水) 08時41分

JRA、8割が随意契約 検査院指摘受け一部競争に移行朝日新聞

 国が全額出資する特殊法人「日本中央競馬会(JRA)」(東京都港区)が昨年締結した契約2571件(1635億円)について、会計検査院が調べたところ、8割が随意契約だったことが分かった。検査院は「騎手や競走馬に接触することのない清掃、警備業務は競争契約が可能だ」として、179件(166億円)は競争契約への移行を検討するべきだと指摘。JRAは指摘を受け、業務の一部を競争契約に移行した。

 検査院の調べによると、250万円以上の契約2571件(1635億円)中、金額ベースで8割にあたる1716件(1306億円)が随意契約だった。契約相手は、全体の4割が子会社や関係会社だった。

 随意契約が多いことについてJRAは「競争契約にして不特定多数のものが出入りすると、レースの公正性が損なわれる恐れがある。競走馬への薬物投与や不審者の侵入を防ぐためにも、随意契約や子会社との契約が望ましい」と主張していた。これに対し、検査院は「騎手や調教師、競走馬と接触しないエリアでの警備や清掃業務は競争契約に移行し、経費削減に努めるべきだ」と指摘。場外馬券場(ウインズ)の警備や交通整理についても、競争契約への移行を求めた。

 また、検査院の調べで、JRAの子会社「共栄商事」(東京都港区、今年10月からJRAファシリティーズ)が昨年、JRAと清掃業務など15件(49億円)の随意契約を結び、84%を再委託していたことが判明。別の子会社「競馬セキュリティサービス」(港区)もJRAと警備業務など6件(11億円)の随意契約を結び、77%を下請けに出していた。検査院は、こうした子会社や関係会社との契約についても、競争契約への切り替えを求めている。

 JRA広報部は検査院の指摘について、「真摯(しんし)に受け止めており、適切な処置を講じていきたい」とコメント。すでに業務の一部を競争契約に移行したことを明らかにした。

 JRAは54年設立。全国10競馬場で、年間36回のレースを興行している。昨年の売上高は約2兆8000億円。

http://www.asahi.com/national/update/1030/TKY200710300359.html