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2007年10月30日(火) 02時31分

<ウィニー著作権法違反事件>地検の弁護士懲戒請求却下毎日新聞

 ファイル交換ソフト「ウィニー」を使い無断で他人の著作物をネット上に公開したとして、著作権法違反の罪に問われた男性の弁護にあたった弁護士(43)に対し、京都地検が「職務上知り得た秘密を漏らした」などと懲戒請求していた問題で、大阪弁護士会が請求を退ける決定をしていたことが分かった。同弁護士会は「弁護士としての品位を失うべき非行に該当しない」などと結論づけた。検察庁が弁護士の懲戒請求をするのは珍しく、この弁護士は「決定は、検察官による弁護活動への不当な介入を阻止した」と話した。

 男性は04年11月、京都地裁で執行猶予付きの有罪判決を受けた。この事件では、ウィニーを開発した元東京大助手も同法違反ほう助罪に問われたが、弁護士は男性を弁護する過程で、元助手に男性の捜査報告書の一部をメールで送るなどした。弁護士はこの行為について「専門家の元助手にウィニーのシステムを聞きたかった」と説明しているが、京都地検は05年5月、次席検事名で「弁護活動の範囲を逸脱している」などと大阪弁護士会に懲戒請求した。

 同弁護士会は議決書で、元助手に捜査報告書を交付した点に関しては、元助手が捜査対象者だったことから「配慮を欠く行為」と指摘した。その上で「罪証隠滅と結びついていない」などとして懲戒請求を退けた。同地検も不服申し立てをせず、決定は確定した。

 この決定について弁護士は「当然の判断。当時、元助手が捜査対象者という認識はなかった。送ったのも捜査報告書のすべてではなく関連部分だけで、名前などは消していた」と話した。【玉木達也】

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