記事登録
2007年10月30日(火) 22時05分

隠し部屋にサウナ…NOVA前社長室「企業私物化の象徴」産経新聞

 バーカウンター、隠し部屋、サウナ…。英会話学校最大手「NOVA」が入る大阪・難波のオフィスビル20階で30日、猿橋(さはし)望前社長(56)の「社長室」が公開された。少なくとも約400億円の前払い受講料の返還の目途が立たず、外国人講師らの約40億円の未払い賃金も支払われないNOVAの現状にそぐわない、一流ホテルのスウィートルームのような豪華な空間。「企業私物化の象徴だ」。保全管理人の弁護士は厳しい言葉で言い放った。
 保全管理人の東畠敏明弁護士らは30日の会見で、「超ワンマン」と称された猿橋前社長による会社を私物化した行動を次々と明らかにした。
 猿橋前社長の所得は17年度で3億900万円だったが、ほぼ同時期の会社決算は31億円の赤字。「みんなが苦労しているときに高額報酬を取っていた。本当のオーナー経営者なら、従業員のためにお金を残してあげてほしかった」
 会見では、猿橋前社長が所有する関連会社2社の株式が大量に売却されていた事実も明らかにされた。売却時期は、会社更生法による保全命令が出された26日前後。会社の窮状をよそに私腹を肥やしたと受け取れる行動に、東畠弁護士は「強い怒りを感じる。こうした資産が私どもに委ねられることを期待していたのだが」と語気を強めた。
 会見の後、東畠弁護士は報道陣に「ビジネスセンター」と呼ばれる最上階(20階)の社長室を公開した。
 広さ約100坪。一面に靴が沈み込むようなワインレッドのカーペットが続く。商談に使用していた部屋には、ドンペリなど高級酒が並ぶバーカウンターや市内を一望する木組みのテラス。バーカウンターの奥には“隠し部屋”とみられる8畳の和室、さらにその奥には、居住スペースもあり、ダブルベッドや大型テレビ、サウナなども完備していた。
 社長室は6000万〜7000万円で作られ、会社が月額270万円の家賃を負担。東京にも同じような社長室があるという。側近中の側近しか入室を許されず、社長室を初めて見た広報担当社員は「こんな部屋だったのか」と驚き、思わず「ふざけるな」と怒りの言葉を漏らした。
 東畠弁護士は「(報道陣に)公開するようなことはしたくなかったが、猿橋前社長はいまなお表に出ずに裏で株を譲渡するなど、受講生に残すべきお金を簿外に持ちだそうとしている。企業私物化の一端としてお見せしようと思った」と公開の理由を話した。

【関連記事】
破産に現実味も NOVAスポンサー探し前途多難 丸井、ヤフー、HISも消極的
NOVA怪しい資金調達…「空売り」を手助けか
NOVAの給与遅配で事情聴取も 大阪労働局長
「スポンサー探しに協力を」NOVA、保全管理人が経産省訪問
NOVA前社長が独断で30億円融資契約 解任され幻に

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071030-00000963-san-soci