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2007年10月29日(月) 02時59分

「吉兆」菓子、偽装表示 福岡天神店 消費期限切れ販売朝日新聞

 高級料亭「吉兆(きっちょう)」を展開するグループ会社の一つ「船場(せんば)吉兆」(大阪市)が福岡市中央区の百貨店で、ラベルを張り替える偽装を繰り返して消費期限切れの菓子を販売していたことがわかった。匿名の通報を受けて調べていた同市は28日、食品衛生法に基づき、同社に適正表示などを勧告した。日本農林規格(JAS)法違反(不正表示)の疑いもあるとみて農林水産省九州農政局と合同で調査している。

閉鎖された吉兆の食品売り場=29日午前10時15分、福岡・天神で

 同市などによると、船場吉兆は同市中央区の百貨店・岩田屋の7階に「吉兆天神店」を構え、地下食料品売り場の「吉兆天神フードパーク」で吉兆ブランドの総菜やデザートを販売している。

 消費期限の偽装が判明したのは、同フードパークのみで販売していた「黒豆プリン」「桜ゼリー」「抹茶ゼリー(抹茶涼み)」「タルト」「ほうじ茶ケーキ」の5種類の菓子。消費期限は製造日から4〜5日間だが、4月以降の帳簿を調べたところ、売れ残った商品のラベルを毎日張り直して消費期限表示を1日ずつ延ばしたうえ、おおむね製造日の古い順に販売していた。

 本来の消費期限を何日も過ぎてから販売されたケースも確認されただけで約100個あり、期限を2週間以上すぎていたものもあった。

 市は通報を受けた9月11日に調査を開始。船場吉兆は翌12日からフードパークでの菓子販売を自粛し、今月27日から全商品の販売を取りやめている。吉兆側は市に対し、「ラベルを張り直す習慣は以前からあった」と説明しているという。

 朝日新聞の取材に対し、船場吉兆天神店の店員は28日夕、「店長の判断で、現段階では取材に一切応じられない」と話した。

 吉兆は大阪発祥の料亭。ホームページなどによると、知的所有権を管理する株式会社吉兆のもとにグループ10社があり、このうち本吉兆、神戸吉兆、船場吉兆、京都吉兆、東京吉兆の各社が計約20店の料理店を運営している。船場吉兆は大阪、福岡両市内で計4店を持つ。

http://www.asahi.com/national/update/1029/TKY200710280152.html