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2007年10月29日(月) 00時00分

電子合成音で本格クラシック朝日新聞

 デスクトップミュージックという和製英語がある。楽譜が読めてパソコンさえあれば、ソフトにこつこつとデータを打ち込むだけで素人でも楽曲を鳴らすことができる。ネットに無数に出来た電子合成音楽サイトで、際立つ美音と高度な音楽性で評判なのが「机の上の交響楽」(http://homepage1.nifty.com/PICCOLO/)。

 フルート奏者で音大職員をしている中島祐さん(48)が開設している。当初の方式は再生する機械によって音が変わるため、2002年から楽器の音色データから合成、同じ音で聞こえるMP3規格で提供できるように変えた。120曲あるクラシック曲の多くは新方式だ。

 新作のサラサーテ作曲「ツィゴイネルワイゼン」でバイオリン弱音部の美しさをぜひ、聞いて欲しい。本当に演奏しているような微妙なふくらみがある。「演奏の経験が無いと、どう表情を付けたらよいか思い付けないと思います」。1日2時間、2週間ほどで仕上げたという。楽器が多いワーグナー「ワルキューレの騎行」なら5分間弱に1カ月半かけた。それでも自分の理想の音を鳴らす演奏が創造できるのだから面白い。

 年末にはベートーベン「第九」のシーズンがやって来る。リストによるピアノ編曲版を昨年、第3楽章まで仕上げ、第4楽章は年内には完成予定。ピアノは細かい音の修正が大変。出来るだけ質の良いヘッドホンで楽しんで下さい。

http://www.asahi.com/kansai/entertainment/webtu/OSK200710290016.html