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2007年10月29日(月) 20時09分

「監視体制台無しに」IAEA事務局長、シリア空爆を批判読売新聞

 【ワシントン=宮崎健雄】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は28日、イスラエル軍がシリアの核施設を空爆したとされる問題で、「国際監視体制を台無しにする行為だ」とイスラエルを批判した。

 米CNNテレビのインタビューで述べた。

 事務局長は、数年前からシリアの核疑惑を懸念していた米国や、イスラエルから一切の情報が寄せられていないと不満を表明。IAEAは商業衛星写真を入手して調べることしかできず、シリアに問い合わせたが、「核とは関係のない軍事施設」との回答だったという。

 事務局長は「核開発をしている国があるという情報があれば、まずIAEAに報告すべきで、空爆してしまえば、いかなる疑惑の解決もできなくなる」と強調した。

 事務局長はさらに、米国のイラン追加制裁についても、「双方の対立が激しさを増せば、中東は大混乱になる。我々は火に油を注ぐことはできない」と批判。北朝鮮が「米朝枠組み合意」に基づいて行われていた核施設の凍結措置を2002年に解除した後、核実験に至った例を挙げながら、「交渉による解決が一番だ」と強調した。

 その上で、イランの核兵器開発については、「イランにその意志があるという疑いはあるが、(完成まで)少なくとも2、3年はかかるだろう」との見方を明らかにした。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20071029i513.htm?from=navr