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2007年10月27日(土) 06時27分

猿橋前社長ら経営陣を聴取へ NOVA給与遅配問題朝日新聞

 経営破綻(はたん)した英会話学校大手「NOVA」(大阪市)による給与遅配問題で、大阪労働局は26日、同社の猿橋(さはし)望前社長(56)ら経営陣から事情聴取する方針を固めた。同局はNOVAの給与遅配行為が労働基準法違反(賃金未払い)の疑いがあるとして、すでに講師や日本人従業員から事情を聴いている。関係者の聴取結果や今後の給与の支払い状況を見極めたうえで、経営陣に対する同法違反容疑での立件の可否について最終判断するとみられる。

 外国人講師の一部が加入する労働組合「ゼネラルユニオン」(同市)などによると、NOVAは経済産業省から一部業務停止処分を受けた今年6月以降、受講料の返還請求が殺到。日本人従業員約2300人への7、8月分の給与振り込みがそれぞれ翌月にずれ込み、9、10月分はいずれも未払いとなっている。約4400人いた外国人講師については、9月分が2週間遅れ、10月分は現在まで支払われていないという。

 こうした状況を受け、同局は今月23日、講師ら4人から事情聴取。NOVA側が毎月の支給日に給与を振り込んでいなかったことを確認した。労働基準法24条は「賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」とし、違反すれば30万円以下の罰金が科せられる。

 同局は、受講料の返還などで資金繰りに行き詰まったNOVA側が、講師らへの給与の支払いを故意に遅らせていた可能性があると判断。検察当局に刑事処分を求めるのが妥当かどうか判断するため、取締役に降格された猿橋前社長を含む経営陣の聴取が不可欠と判断したとみられる。

 遅配が続いている給与について、26日に大阪市内で会見したNOVAの保全管理人の弁護士は「当面は凍結されるが、労働債権は優先権があるので、資金がある限りは支払いたい」と述べた。

http://www.asahi.com/national/update/1027/OSK200710260088.html