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2007年10月26日(金) 11時01分

「たらい回し」、3年間で2452件=妊婦搬送受け入れで−総務省消防庁・厚労省時事通信

 救急車などが妊婦を搬送中、医療機関に2回以上受け入れを拒否された件数が、2004年から06年までの3年間で2452件に上ることが26日、総務省消防庁と厚生労働省が行った全国調査で明らかになった。受け入れ先に収容されるまで3時間半かかったケースもあり、医療体制の不備で多くの妊婦が「たらい回し」にされている実態が浮き彫りになった。
 これを受け同庁は同日、全国の消防本部に対し、妊婦を含めた患者の搬送時に医師の指示を受けて救急処置ができる救急救命士などが医療機関に連絡することや、患者の特徴的な症状などを的確に医療機関に伝えるよう、都道府県を通じて通知した。
 調査は、奈良県在住の妊婦が今年8月、受け入れ病院が決まらず救急搬送中に流産した問題を受け、全国の消防本部を対象に実施された。
 それによると、06年の1年間に2回以上「たらい回し」されたケースは、東京都が279件と最も多く、次いで神奈川県(247件)、大阪府(137件)と、大都市ほど受け入れ拒否が多いことが分かった。最多は東京都の事例で、受け入れまでに26回拒否されていた。3年間でみると、受け入れ拒否回数が10回以上の件数は全国で61件に上っている。
 受け入れ拒否の理由(06年)では、手術スタッフがそろわなかったり処置のための設備などがなかったりする「処置困難」が26.6%で最多。「手術・患者対応中」(17.2%)、「専門外」(11.7%)などが続く。

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