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2007年10月26日(金) 15時11分

ヘリ装備品過大請求、処分なし 山田洋行 守屋氏に説明朝日新聞

 軍需専門商社「山田洋行」(東京都港区)が6年前、海上自衛隊のヘリコプターの装備品納入について代金を過大請求し、防衛庁(当時)から調査を受けていたことが、関係者の話でわかった。山田洋行側はこの際、当時の同庁防衛局長だった前防衛事務次官の守屋武昌氏(63)に経緯を説明したという。その後、山田洋行に過大請求への処分はなく、同庁関係者は「この対応に疑問の声があがった」と証言している。

チャフ・フレア射出装置が装備されている海上自衛隊の哨戒ヘリ「SH−60K」

 防衛局長は装備品調達の担当ではなく、守屋前次官が山田洋行側から説明を受けたことは不自然だったという。東京地検特捜部は山田洋行元社員らを事情聴取し、当時の経緯を調べている。

 問題となったのは、防衛庁と山田洋行が00年度に契約した「チャフ・フレア射出装置」の納入。この装置は、輸送機やヘリコプターをミサイルから守るためにおとりの金属片や熱源などを発射するシステムで、海上自衛隊の哨戒ヘリコプターに配備された。

 関係者によると、この装置納入の契約後、駐米の防衛庁職員が「単価が高すぎる。どういう理由か」と英国のメーカー「BAEシステムズ」や代理店の山田洋行側に問い合わせた。これに対し、BAEシステムズが「そんなに高い見積もりは出していない」と返答したため、山田洋行の過大請求が表面化したという。

 その後、02年3月になって、山田洋行側が防衛庁に対し、約1億円の減額を申し出た。同庁は「契約変更」という手続きを取り、山田洋行からその約1億円の返金を受けたという。山田洋行に対しての処分は一切なかった。

 この交渉の途中で、山田洋行側が、装備品調達で担当外の防衛局長だった守屋前次官に経緯を説明していた。山田洋行側は「単に事情を説明しに行っただけ」としている。

 一連の問題について、防衛省関係者は「『2年後に契約変更』という手続きは、極めて不自然な処理と言える。過去にこの事例しかないのではないか」と指摘。「山田洋行の不正を官側が帳消しにしたのではないか」と受け止めたという。

 山田洋行をめぐっては、元専務(69)が守屋前次官と、山田洋行の関係会社が経営するゴルフ場などで一緒にプレーし、利害関係者とのゴルフが自衛隊員倫理規程で禁じられた00年以降も続けていたことが判明している。

http://www.asahi.com/national/update/1025/TKY200710250421.html