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2007年10月26日(金) 12時06分

「無責任すぎる」 NOVA受講生や講師、怒りと不信朝日新聞

 大阪市中央区西心斎橋2丁目のビルに入るNOVAグループ統括本部は26日、業務開始時間の午前10時を過ぎても4階総合受付のシャッターは閉まったままだった。

扉を閉ざしたままのNOVA本町校の前では、「何も知らされていない」「まだこんなにポイントが残っているのに」と、生徒たち=26日午前10時14分、大阪市中央区で

 シャッターには、会社施設への立ち入り禁止や全教室の一時運営停止を知らせるA4判の紙が1枚張られ、「皆様に多大なご迷惑、ご心配をお掛けいたしますこと、心よりおわび申し上げます」と結ばれていた。出勤してきた男性社員は報道陣の問いかけに「何も聞いてません」と表情をこわばらせた。

 大阪・キタの梅田本校で英語のレッスンを予約していた大阪府八尾市の30代主婦は、午前10時になってもスタッフが1人も出勤してこないのに首をかしげた。契約は来春までで20万〜30万円分のポイントが未消化だ。「別の会社にきちんと事業を引き継いで、お金が無駄にならないようにしてほしい」と訴えた。

 外国人講師の一部が加入する労働組合「ゼネラルユニオン」(大阪市)のデニス・テソラット書記長は「寝耳に水の状態。講師や生徒に動揺が出ないように早急に説明会を開きたい」と話した。

 「こんな無責任な会社だったなんて……」。堺市北区のなかもず校に長女(4)を通わせていた主婦(35)は、会社更生法適用の申請を知って怒りの声を上げた。

 娘に英語を学ばせてあげたいという思いで、昨年10月にNOVAと契約した。「来年分の申し込みを限定10人で受け付け中で、今なら1カ月分無料ですよ」。今年6月、なかもず校スタッフから自宅に電話があり、来年分の授業料約11万円を振り込んだ。その数日後、経済産業省がNOVAに特定商取引法違反で一部業務停止命令を出した。

 9月下旬、なかもず校の今月末の閉鎖が紙切れ1枚で伝えられた。16日に解約するために出向いた統括本部では、「手続きに4カ月ほどかかる」と言われたという。

 「振り込んだ授業料がいつ戻ってくるか分からない。NOVAはまともな授業もしておらず、お金をドブに捨てたようなものだ」と憤った。

 給与の遅配が続く外国人講師らは、生活不安を口にする。

 大阪市阿倍野区の天王寺本校でフランス語を教えるレア・ドルビンさん(32)は、社長だった猿橋望氏が25日に「資金調達できた」と通知してきただけに信じられなかった。9月と10月分の給与計約60万円が支払われていないドルビンさんは「猿橋さんはちゃんと説明すべきだ」。同府松原市の河内松原校の英国人講師ロッカー・マットさん(31)は、28日に引き落とされる家賃9万円の工面がつかない。「一刻も早く支払ってもらわないと生活できない」

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200710260009.html