記事登録
2007年10月26日(金) 06時30分

下村教授、サイエンス誌の論文取り下げ 「不正行為ない」朝日新聞

 大阪大学医学系研究科の下村伊一郎教授(43)の研究グループが、米科学誌サイエンスに発表した論文を取り下げたことがわかった。データ捏造(ねつぞう)などの不正行為はなかったとしているが、主要科学誌で論文取り下げは極めて珍しい。実験の一部に不備があったとして、大学や同誌が取り下げを求めていた。26日付の同誌で公表される。

 取り下げたのは、04年12月に発表されたたんぱく質「ビスファチン」の新しい働きを報告した論文。血糖値を下げるとされ、糖尿病などの治療につながる成果として期待されていた。

 ところが、不正行為があったと関係者から申し立てがあり、調査に当たった研究公正委員会などが「不正行為の証拠はないが、実験がずさんで不備がある」とした。このため、教授会が6月、取り下げを勧告していた。サイエンス誌も、一部の実験方法に問題があるなどと指摘したという。

 下村教授は「実験手法への疑問や論文の信頼性を下げる間違いがあった点を真摯(しんし)に受け止め、取り下げを決めた。実証的研究を続け、改めて論文などで報告したい」としている。

 下村教授は昨年2月、指導していた学生によるデータの捏造が別の論文であったとして大阪大から停職14日の懲戒処分を受けている。

http://www.asahi.com/national/update/1025/OSK200710250103.html