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2007年10月26日(金) 08時01分

薬害肝炎 追跡1000人限界か 厚労省、カルテ保存5年の壁産経新聞

 薬害肝炎問題をめぐり、舛添要一厚生労働大臣が決めた血液製剤「フィブリノゲン」投与歴のある推定28万人の追跡調査が、カルテの保管期限切れなどの理由で、難航が必至の状態であることが分かった。厚労省内からは「連絡できるのは1000人以下」という見方も出ている。

 「投与された人は全員危険。全員告知のためあらゆる対策をやりたい」。24日の衆院厚労委員会で答弁した舛添厚労相だが、いくつもの壁が立ちはだかる。

 今回、厚労省が把握に努めることになった28万人という数字は、血液製剤の製造元、旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)が平成14年にはじいた数字。

 全員告知のハードルになると考えられるのが、カルテの保存期間だ。医師法でカルテの保存期間は5年と定められている。しかし、問題となる汚染されたフィブリノゲンが投与され、20年近くが経過している。

 厚労省は16年12月、納入先医療機関5398施設を公表して検査を呼びかけたが、その時点で投与当時のカルテを保存していたのは約380施設だった。

 そもそも同社は7004施設に納入したとしており、約1600施設分の患者は病院閉鎖で調査のしようがない状態だ。

 ある厚労省幹部は「多く使われたのは産科。かかりつけになる人は少ない。カルテがあっても古い」とぼやく。転居先不明や氏名の変更でカルテの精度も鈍っており、「連絡できて1000人以下ではないか」と推測する。

 薬害肝炎訴訟の原告団も厳しい見方をしている点では同様だが、追跡可能な人数については「2万〜3万人」とみている。

 薬害弁護団では、病院リストを公表した際に、その中の1500病院を独自に調査。うち500病院から回答を得て、3割程度の病院から、「実はカルテは倉庫に保管されている」「手術記録ならある」「分娩(ぶんべん)記録ならある」「入院診療記録がある」といった回答を得ている。

 弁護団では「厚労省がカルテだけにこだわらずに、あらゆる資料による協力を医療機関にすれば、捕捉率はあがるはず」と話している。


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